牛肉の代替食糧に!?「食用コオロギ」が世界を救う
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牛肉の代替食糧に!?「食用コオロギ」が世界を救う

コオロギを使ったスナック菓子を販売する「Bitty Foods」

取材・撮影=#LYVE(ハッシュライブ)

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Jun 08, 2017 by Mitsuhashi Yukari Reporter

3 Lines Summary

  • ・“食用昆虫”にヒントを得て起業したMegan Miller氏にインタビュー
  • ・コオロギはタンパク質が豊富で、牛肉や豆に代替品になり得る
  • ・将来的にはNGOと手を組み、世界の食糧難解決を目指す

タイとカンボジアに旅行中、屋台に並ぶ“食用昆虫”を食べたことにヒントを得て起業した女性がいる。サンフランシスコに拠点を構える「Bitty Foods」の共同創業者Megan Miller(ミーガン・ミラー)さんだ。同社は、クリケットフラワー(コオロギの粉末)を使ったスナック菓子を製造販売している。

昆虫と聞いて食を連想する人は少ないだろうが、アジアやアフリカなど世界の人口の80%は昆虫を食している。このクリケットフラワーは、小麦粉の倍量のタンパク質を含み(1カップあたり28グラム)、鉄分や食物繊維など栄養価も高い。また、コオロギは牛や鶏などと比べて少ない水量で飼育できるため、持続可能な環境づくりにも繋がる。数十年先の未来を見据えて、食用昆虫の普及に励むミラーさんに話を聞いた。

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クリケットフラワーを使ったスナック菓子

世界の人口は2050年までに90億人に及ぶ見込みですが、現状の食糧供給のままではタンパク源が不足し、牛肉が贅沢品になると予測されています。この課題のひとつの解決策として注目されるのが、食用昆虫です。国際連合からは、「食用昆虫は世界の食糧供給を安定させる可能性を持っている」との公式発表がありました。北米での認知度はまだ高くありませんが、「Noma」や「Mugaritz」など世界的に有名なレストランが食用昆虫を取り入れ始めています。

「Bitty Foods」では、タンパク質が豊富なクリケットフラワーを使ったスナック菓子を製造販売しています。環境に配慮して持続可能な形で飼育されたコオロギを乾燥させ、ゆっくりローストして、ナッツのような香ばしさを引き出してから粉末状にします。クリケットフラワーには、消化を助け、関節痛などによる炎症を和らげる効果があります。また、穀物や乳製品アレルギーがある人でも楽しめます。

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クリケットフラワーを使ったクッキーが最初の商品で、2016年9月にスパイスが効いた軽い食感の「Chiridos Chips」というパフ菓を開発したことで、売り上げは倍増しました。今では、ミレニアル世代からお子さんがいる家庭まで幅広い層に支持されています。これまでは食用昆虫に馴染みがない北米で販売してきましたが、セブンイレブンの卸売業者と組んでアジアへの進出を検討中です。2018年には、売り上げ1万ドル(1ドル100円の単純計算で1億円)突破を見込んでいます。

食用コオロギで挑む課題解決

2012年頃、タイとカンボジアを旅行した際に、路面店でコオロギやワームなどの食用昆虫を食べました。栄養価が高く育てやすいため、世界では2,000種の昆虫が食されていますが、北米やヨーロッパで食資源としての昆虫は未開拓に等しいのが現状です。コオロギは、北米で1950年以降に釣りやペットの餌として大量生産されており、インフラがすでにあります。また、ゴキブリや蚊などの昆虫に比べてイメージが良く、味が美味しいことも決め手になりました。

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北米の農産物の多くはカリフォルニアで生産されていますが、晴れ続きで雨が降らないため毎年水不足が課題になっています。牛肉や豆などの一般的なタンパク源を育てるには、大量の水が必要です。いっぽうのコオロギは、牛に比べると2,500分の1、豆に比べて216分の1の水分量で済むため節水に繋がり、広大な土地も不要です。また、コオロギの飼育は廃棄物が少なく、温室効果ガスの排出量ゼロと環境に優しいのも利点です。

Bitty Foodsでは、原材料のコオロギをタイと北米の複数の農家で育ててもらっています。コオロギはたった6週間で育つため飼育効率がよく、他の野菜や動物に比べて新規参入のハードルも低いです。既存の農業に平行してコオロギを飼育することで、農家は不作だった年の収入を補うことが可能になるのです。そして、環境への配慮、農家のサポートも大切ですが、私たちの長期的なゴールは、世界の飢餓を救済すること。具体的には、NGOと協力し合い、食料難に苦しむ地域で食用昆虫を使った自給自足を促進していく予定です。

リアルな場でまずは食べてもらう

食用昆虫という新しい市場への挑戦でしたが、早い段階でBitty Foodsのポテンシャルを確かめることができました。マンハッタンで開催されたTEDというカンファレンスで、「昆虫は未来の食資源か?」という講演をしたことがきっかけでした。クリケットフラワーを使ったクッキーを来場者に試食してもらったところ大好評で、ニューヨークタイムズを含むさまざまなメディアがこぞって記事で紹介してくれたのです。

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この時、全く関心のない人をファンにしようと努力をするより、まずは小さなマイノリティの関心をとらえることのインパクトを実感しました。彼らにリピート顧客になってもらうことができれば、事業としての可能性が一気に広がるからです。その後も、雑誌「Fast Company」の ”Most Creative People in Business”などさまざまな賞を受賞したことが、Bitty Foodsの認知度向上に貢献しています。

「Food Network」などでお馴染みのセレブリティシェフ Tyler Flouraneさんと共同開発しているため、味には自信がありますが、まずは一口食べてもらわないことには始まりません。そこで、新しい物への関心が高くオープンな若者がいる場所に目をつけました。現在は、TwitterやGoogleなどIT企業のカフェテリア、またサンフランシスコの自然史博物館で開催されるリアルイベントなどに商品を卸しています。新規顧客の開拓になるのはもちろんのこと、こうした場で得たフィードバックを商品開発に役立てています。

食用昆虫をトレンディにする

2010年からサンフランシスコで暮らし、大手企業に勤めていた前職ではスタートアップと関わる仕事をしていたため、ここで起業することは自然な判断でした。また、サンフランシスコを含むカリフォルニア州は食文化が発達しており、北米のどこよりグルメが集まる場所でもあります。つまり、フードスタートアップに最適な環境なのです。

シリコンバレーは、アイデアが常に彷彿している場所です。新しいアイデアに対してオープンで、失敗に対して寛容。ここには、中長期視点で未来を見据え、リスクを恐れずにアイデアに賭ける精神があります。私自身、IT業界からまったく未知だったフード業界に転身することができたのも、そんな文化に背中を押されたからかもしれません。

Bitty Foodsの究極のミッションは、一人でも多くの人に食用昆虫に慣れてもらい、スーパーフードとして食用昆虫をトレンドにすることです。そのためにも、食肉や小麦に並ぶタンパク源としてクリケットフラワーを啓蒙し、需要に応えるだけのサプライチェーンを築いていきます。これを実現するためにも、例えば飢餓問題に取り組むNGO団体など、共に世界に大きなインパクトを与えられるようなパートナーを見つけることが目下の目標です。

https://www.facebook.com/hashlyve

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