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バーベキューは「焼肉」より「茶道」に近い! ビジネスに通じる“BBQの法則”

特集「料理は、ビジネスパーソンの必修項目だ」第5回

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Jun 16, 2017 by editors room Reporter

3 Lines Summary

  • ・本来のバーベキューは焼肉ではなく、パーティである
  • ・バーベキューは大きな肉をシェアするのが醍醐味
  • ・パーティスタイルのバーベキューを通じて、日本人のコミュ力は高められる

昨今のキャンプブームの折、外で楽しむ食事に注目が集まっている。その代表格と言えば、バーベキューだろう。参加者の予定を繰り合わせて、念入りに準備をして…と、手間暇掛けて楽しむアウトドアイベントのイメージがある。それらのひとつひとつには、もしかしたら仕事にも応用できるテクニックが隠されているかもしれない。

…しかし日本バーベキュー協会会長の下城民夫さんによれば、「そのスタンスは大間違い」とバッサリ切り捨てる。多くの日本人は、バーベキューについてなにやら誤解を抱いているらしいのだ。

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日本はバーベキュー後進国。バーベキューの本当の姿は、“パーティ”

「バーベキューに関しては、日本はビックリするほど遅れています。日本では焼肉の延長のように思われていますが、アメリカをはじめとする本場では、パーティコミュニケーションの方が主体なんです。日本だと、料理して食べるのが8割で、残りの2割がコミュニケーションだとしたら、本場はその逆。食事2割、コミュニケーション8割です

下城さんは広告代理店出身で、アウトドア専門の通信社を運営していたそう。仕事を通じて本場のバーベキューに触れ、カルチャーショックを受けたことが、11年前の日本バーベキュー協会の設立のキッカケだったとか。その深い文化性を広めるために、様々な活動を行っている。一般の人が受講できる『バーベキュー検定』や、企業との商品コラボレーション、バーベキューにオススメできる商品、場所の認定。そしてバーベキューの知識を持つ人をBBQインストラクターとして認定するなど、幅広い。

では、本場のバーベキューとは、果たしていかなるものなのだろうか。

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「オーストラリアに行ったことはありますか? 街や公園、河川敷やホテルなど、いたるところに無料で使える電気グリル、パブリックバーベキューグリルが置いてあるんです。彼らはすぐに声を掛けあって集まり、そのあたりで買ってきたものを焼いて、ワイン片手にパーティを楽しみます。バーベキューを“バービー”と呼び、カジュアルに楽しむコミュニケーションの手段なんです」

そこには日本の宴会のような上下関係はなく、「レッツ、バービー!」のかけ声のもと、フラットに会話を楽しみ、知らない人も参加してくるような間口の広さがあるらしい。しかしそういった感覚を日本人が理解するのは、極めて難しいと下城さんはいう。

「なぜなら、日本にはパーティ文化がないからです。バーベキューは食事というより、コミュニケーションの考え方なんです。基本的にはどの国のバーベキューもパーティスタイルで、食事よりも人、中心。食事だけでは成立しないんですよ」

バーベキュー=もてなし。日本の茶道にもヒントがある

そこで食べるものは、実は何でもいいという。ただ、薄い肉を焼いて食べるのでは、“個人プレー”になってしまい、バーベキューの本来の意味を見失ってしまうそうだ。

「焼肉って下手したら陣地争いですよね。せっかく焼いた肉を誰かに取られたら、遺恨が残るじゃないですか。バーベキューは仲間作りのための食べ方だから、一人で食べるものを作ってはいけないんです。だからドンと大きい肉を焼けば、それだけでいい。それを楽しくシェアするという行為が、仲間意識に繋がるわけです。欧米で大きい肉を焼く技術が発達したのは、バーベキューという文化があったからなんですよ」

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バーベキューを成功させるには、おもてなしの心が必要だという。そのヒントになるのが、なんと日本の茶道。

茶道って、人を喜ばせて楽しむ遊びなんですよね。自分だけがよければいいのではなく、周りが満足しないとならないという考え方です。ただ、日本人はおもてなしがヘタクソなんですよね。そこで、千利休が弟子たちに伝えた『利休七則』になぞらえて、『バーベ九則』というものを考案しました」



1. 下調べは慎重に

2. 準備はお家で

3. 降らずとも雨の用意

4. 焼ける前に一品

5. 食べ物を炭にするべからず

6. 子どもを相客に心せよ

7. 飲んだら運転しない

8. ごみ、炭は埋めない捨てない

9. 来た時よりも美しく

テクニカルなものもあるが、基本的にはおもてなしの精神を大切にするための要項なのだとか。

利休七則からそのまま取り入れた『降らずとも雨の用意』は、天気など自分でコントロールできないことに心を惑わされず、目の前の相手に目を向けなさいという教えです。ただ、本場のアメリカ人がこういったことを念頭に置いているかといえば、実はそうではありません。日常に溶け込んでいる文化なので、彼らは自然ともてなしができるんです。外国人である我々が他文化を理解するためには、こういったヒントが必要なんですね」

バーベキューを学ぶことは、コミュニケーション能力を磨くこと

さて、このように楽しむバーベキューには、実はビジネスでも役立つメソッドが隠されているそうだ。

「バーベキューを学んで実践していけば、コミュニケーション能力を磨けますよ。日本人は知り合いとなら話せるけど、見ず知らずの人とは上手に話せない人が多いですよね? それは慣れの問題で、そういう場所に自分の身を置かないからなんです。僕も始めてテレビに出たときは、ほとんど話すことができませんでしたが、バーベキューに親しむことで、誰とでもフラットにコミュニケーションを取れるようになりました」

裏を返せば、欧米の人たちが饒舌にプレゼンテーションができる背景のひとつには、バーベキューのようなパーティ文化があるから、といえそうだ。

「実はバーベキュー検定を受験される方のなかには、コミュニケーションが不得意な人がいらっしゃることがあります。しかしコミュニケーション能力とは相手の頭の中を想像する能力ですから、バーベキューのおもてなしを実践することで、“理解する”と“伝える”ことがきっと学べますよ」

日本のバーベキュー人口は2300万人もいて、例えばゴルフの800万人を軽く凌駕する数字だという。確かにバーベキューを楽しんだ経験がある人は少なくないはずだ。潜在層にもこのように本格的なバーベキューが浸透していくことで、やがて欧米のようなパーティ文化が日本でも親しまれるようになると、下城さんは見ている。

「バーベキューとは、すごくライトでカジュアルなパーティのこと。本格的なパーティの入り口といえるでしょう」

欧米式のバーベキューに親しむことは、欧米式のコミュニケーション文化を取り入れることだ。視野を広げ、ビジネスチャンスを生み、プレゼン能力を高められるエンターテインメントといえそう。いよいよ本格シーズンの到来。重い腰を上げて挑戦してみる価値は、じゅうぶんにありそうだ。

文=吉州正行

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下城民夫さん
1960年生まれ。日本バーベキュー協会会長。バーベキューマスター。スマートバーベキューを普及するため、バーベキュー検定制度や企業コラボを積極的に行う。バーベキュー道具や火起こしの方法からレシピまでバーベキューのイロハを一冊にまとめた究極“教科書”「新バーベキューの教科書」(ネコ・パブリッシング)が発売中!

日本バーベキュー協会
http://www.jbbqa.org

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