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余った料理を安価で提供。廃棄食料削減を目指す、新しいアプリ

ベルリンのスタートアップ「ResQ Club」が目指すもの

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Jun 30, 2017 by Sato Yuki Reporter

3 Lines Summary

  • ・廃棄食料削減を目指すベルリンのスタートアップ「ResQ Club」
  • ・現在ではベルリンだけでも300近くのホテル・レストランが登録
  • ・余剰フード削減に加え、新規レストランの発見や環境配慮への満足感も

今回取り上げるのは、廃棄食料の削減を目指して奮闘中のベルリンのスタートアップ「ResQ Club」です。

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「ResQ Club」は、余った料理を売りたいレストランやホテルと、安価に食べ物を手に入れたい個人を結びつけるアプリを開発し、ベルリンを中心に欧州5カ国で事業を展開させています。

どのような仕組みになっているかというと、まず個人ユーザーはアプリを開くと、安価な余剰フードを提供している近くのレストランやホテルを地図上で見つけることができます。各お店を選択すると、どんな料理がいくらで提供されているか、そして何時にピックアップ可能かといった詳細情報が表示されます。注文したいと思ったら、注文ボタンを押し、PayPalやクレジットカードを使ってアプリ上でお支払いします。そして、指定時間にお店に行って、アプリをお店のスタッフに見せてピックアップ。このように、とてもシンプルなプロセスになっています。

一方、レストランやホテルが抱える問題として、余った食べ物を廃棄したくないものの、需要の予測が難しいためどうしても一定量の廃棄食料が出てしまうという点があります。たとえば、ビュッフェメニューは、予め大量に作るものの余ってしまいがちなメニューの一つです。

「ドイツでは、ホテルやレストランで作られた食品の約30%が廃棄されているといいます」

ResQ Clubに創業時から参加しているメンバーの一人、レオ・サカグチさんは、廃棄食料の現状についてこのように教えてくれました。アメリカのカリフォルニア州立大バークリー校で環境科学を修士課程で学んだサカグチさんは、論文のテーマがまさに「レストランの廃棄食料問題」だったそうですが、同様の課題解決に取組んでいるResQ Clubに共感し、参加することを決意したのだといいます。

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ベルリン市内の300のレストラン・ホテルが登録し、ローンチ直後から成長中

ResQ Clubは「都市で生まれる余剰フードを最大限に活用し、サスティナブルな生活の実現を簡単にする」というビジョンを掲げて、事業を運営させています。実はResQ Clubは、今年5月にベルリンのスタートアップ「MealSaver」とヘルシンキの「ResQ Club」が合併をして、新たに生まれ変わったばかり。現在社員数は約50名で、オフィスはベルリンに置かれています。MealSaverは昨年の秋から、ResQ Clubは2015年からアプリを展開させていましたが、ビジネスモデルが似ており、かつお互いの強みを生かしあえると判断したことから合併する流れになったそうです。

もともとベルリンで展開していたのは、昨年秋にアプリをローンチしたMealSaverの方ですが、ローンチ当初からレストラン側、ユーザー側の反応が良く、現在ではベルリンだけでも300近くのホテル・レストランが登録をしているとのこと。ドイツ全体でも毎日約1000件の注文が入っており、アプリのユーザー数はドイツでは6万人に達しています。なお、ResQが売り上げの一部を手数料として得るという仕組みになっています。

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さっそく使い、12ユーロのビュッフェランチを3ユーロで購入!

アプリの使い心地を試してみたく、筆者もまたアプリを使ってみました。

「ベルリンでは日曜にビュッフェスタイルのブランチを提供しているレストランが多いので、日曜の午後はおすすめですよ」というサカグチさんのアドバイスに従って検索してみたところ、確かに破格の値段でテイクアウトのランチボックスを提供しているレストランがいくつかありました。筆者は、日曜の正午にアプリから注文をして、指定されたピックアップ時間である14時半ー16時半の間にレストランを訪れました。アプリをスタッフの方に見せると、ボックスを手渡され「好きなだけビュッフェのメニューを詰めてくださいね」と案内してもらいました。

20種類近く並んでいるメニューの中で、自分の好きなものをボックスに入るだけ詰め込みお礼をいってお店を後にしました。支払いはアプリ上で済んでいます。

このレストランでは11時から16時まで毎週日曜、ブランチのビュッフェが提供されているのですが、通常のビュッフェ価格は12ユーロです。それを3ユーロで購入できたので、お得感たっぷりの体験することができました。

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社会とレストラン、ユーザーのWin-Winの仕組みをつくる

自分自身で使ってみて実感したのは、余剰フードを減らす、節約するという以上に様々な「価値」がアプリを通じて生まれているということです。

たとえば、私は3ユーロのランチボックスを購入したレストランの存在を、ResQアプリを使うまで知りませんでした。実際にこのアプリを通じてはじめて訪れてみて、そのレストランの雰囲気や接客態度、そしてもちろん料理の味を体験することができました。そのレストランの雰囲気や料理がとても良ければ、ユーザーはまた別の機会に行くことも検討するでしょう。美味しい料理を手頃な値段で食べられる、というお得感だけでなく、新たなレストランを知る機会も得ることができるのです。そして、「環境に良いことをしている」という満足感も得られます。

これはレストラン側にとっても同様で、余剰フードを減らせる、売り上げを増やせるという価値だけでなく、新たな顧客を得るためのマーケティングの機会をも得ることができます。さらに、「環境に優しい」というブランドイメージづくりにもなります。

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このようにResQでは、社会とレストラン、消費者がWin-Winになる仕組みがうまく作られていると感じました。

規制の理解が一番のチャレンジだった

とはいえ、廃棄食料というのは先進国では大きな問題として注目されるようになって久しいですし、レストランやホテルで余った料理を安価で売るというアイデアは、特に目新しいものでもないようにも思えます。ですが、それを事業として立ち上げ、拡大していくにあたっては技術や業界知識、資金、交渉力など様々な力が必要になります。また、こうしたコンセプトに賛同してくれるレストランやユーザーがどれだけいるか、つまり社会的な意識がどれだけ醸成されているかという点も、特に最初のコミュニティを築く上では重要になります。その点に関しては、廃棄食料や環境問題への意識が高く、新しいアイデアにもオープンな人が多いという点でベルリンはテスト市場として良かったといいます。

また、事業開発においてもっとも大変だったのは「規制の理解」であったとサカグチさんは言います。

「余剰フードの販売に関する規制について学ぶのに数カ月を費やす必要がありました。ドイツの規制は厳しいですし、私たちはその知識が当初は欠けていました。ですので、ポリシーメーカーなどに質問してまわって、規制について学びルールづくりをしていきました」

食品を販売するにあたっては衛生面への責任が伴いますが、「購入後にすぐに食べる」という点をユーザーに同意してもらうことで、その問題を解消しています。

資金については、立ち上げ時からこれまでの資金はAnandaというソーシャル事業に特化した投資を行っている欧州のベンチャーキャピタルから出資を得たといいます。また、現在も新たに資金を調達するため、様々な投資家とコンタクトをしている最中とのこと。

また、廃棄食料、余剰フードの問題に対する取り組みとしては、ドネーションを元に運営されているフードバンクやボランティア団体のフードシェアリングといった、団体もベルリンには存在しています。そうした取り組みはライバルではなく、問題に対する関心を高めるためのパートナーであると考えているとのこと。廃棄食料分野における、様々な形態の事業が増えることで、さらに社会の意識が高まっていくのではないでしょうか。

FLAG7「ワールド・テック・リポート」2017/6/20放送 番組動画はこちら
https://www.houdoukyoku.jp/archives/0009/chapters/28745

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