世界に広がる日本発の大発明?「うま味」発見のルーツを訪ねてみた
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世界に広がる日本発の大発明?「うま味」発見のルーツを訪ねてみた

UMAMIの真髄に迫る<2>

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Jul 21, 2017 by VIDELICIOUS Reporter

3 Lines Summary

  • ・うま味発見のルーツを探った
  • ・発見者の池田菊苗博士、専攻は物理だった
  • ・ドライトマトを20回噛んでうま味を体感

東京・表参道の人気ハンバーガー『UMAMI BURGER』開発のエピソードに象徴されるように、今や「UMAMI=うま味」は世界共通の味覚として認識されていることは間違いなさそうだ。

そしてその「うま味」は、日本発のものであることは、日本人であれば「なんとなく」知っているだろうが、いつ、誰が、どのように発見したかまでは、具体的に知る人はそうはいないだろう。かく言う筆者も、恥ずかしながらこの取材前まで、「うま味」についてそこまで深い知識や情報は持ち合わせていなかった。

そんな「うま味」にまつわる情報を正確かつ有益に発信している団体はあるだろうか……と探していたところ、ありました。まさにその情報発信を通し、「うま味」の理解を深め、健康な食生活への貢献を目的とする、「NPO法人うま味インフォメーションセンター」。我々はそこを訪ね、まずは「うま味」発見のルーツについて聞いた。

今から100年以上前、海外で感じた味の記憶から「うま味」は発見

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「うま味」を発見した、帝国大学(現東京大学)の池田菊苗(きくなえ)博士。1908年に昆布から「うま味」を導き出した(提供:NPO法人うま味インフォメーションセンター)

「発見した池田菊苗博士は、食の専門家ではなかったんですよ」

取材に応じてくれた一人、同センター理事であり農学博士である、二宮くみ子さんは、自分の発見を明かすように、ウキウキした表情で語った。

「うま味」を発見した東京帝国大学(現東京大学)の池田菊苗博士の専攻は、物理。だが、その研究におけるドイツへの留学が、専門外の「うま味」発見のきっかけとなったという。

時は明治末期。池田博士は当時の科学立国・ドイツへと2年間留学していた。そこでは当然ながら、日本でなじみのある昆布やかつおぶしなどが用いられた「和食」を食べることはできなかった。むしろ日本ではなじみのない肉やチーズ、野菜でもトマト、アスパラなどしか、食べることはできなかったという。

「でも、そうしたうま味を含む食材を味わう中で、池田博士は何か和食に通じるものを感じていたようです」(二宮さん)

帰国後、その海外での味の記憶が、懐かしの和食に再び触れることで、一気に花開く。湯豆腐のなかにある「昆布」の味覚と、海外の食生活の中で感じていた「和食に通じる何か」がつながった。いわゆる「うま味」の発見である。

そして池田博士は、専門外にもかかわらず、成分を見出す研究を開始。グルタミン酸と何かの成分が組み合わさることで「うま味」が発見されると仮説。幾重もの組み合わせを試した結果、グルタミン酸塩の味であることを解明した。1908年、それを「うま味」と命名したという。

あの調味料の開発の原点に。日本十大発明家の一人にも

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左が同センター理事であり農学博士の二宮くみ子さん。右が理事の石井正さん。うま味インフォメーションセンター内にて

そしてその発見を、世の中に広く役立てたいと考え、グルタミン酸塩が天然食材に含まれる要素として論文にまとめあげた。これが、「うま味」が世界的な発見として受け容れられる土壌になったと、二宮さんは語る。

ちなみに、この「うま味」の発見により、池田博士は「日本の十大発明家」の一人に選出されている。「日本の十大発明家」とは、特許庁が特許制度がはじまった100周年を記念して、1985年4月に歴史的な発明家の中から選定した10名を指す。詳しくは特許庁ホームページにて。

ちなみにもうひとつ。この研究結果をもとに生み出された調味料が「うま味調味料」である。自らの発見を世の中に役立てたいと考え、池田博士は「うま味調味料」の製造方法まで開発したという。そしてそれを共同開発し、製品化につなげたのが、味の素株式会社の創業者である鈴木三郎助である。

「留学時にドイツ人の体格を目の当たりにし、日本人がもっと体格が良くなるために、おいしく食事を楽しめ、結果として食が太くなるよう、うま味調味料を開発したと聞いています」(二宮さん)

「うま味」は主役ではない? 論より証拠。「うま味」を体験してみた

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「うま味インフォメーションセンター」にて、「うま味」を体感する試飲メニューを実践。ちなみに同センターでは子どもたちへの体験も行っているという

こうして漠然としていた、「うま味」が日本で発見された具体的な経緯がわかった。では、その「うま味」についてもう少し体系的に伺おう、と思った矢先。二宮さんが待ってましたとばかりに、隣のテーブルに置いてあったセットを持ち出した。

「論より証拠。うま味は頭でよりも実際に体験してもらうのが一番です」

まず、ドライトマトを20回噛めという。トマトの酸味、塩気、乾燥している独特の風味が感じられるが……20回も噛んでいると、“ボワン”とそれらとは異なる味覚が残るのがわかる。

「それこそ、うま味なんですよ。うま味は持続性があるのです」

と、感じたことを嬉しそうに感じる、二宮さん。うま味は持続性がある? と頭を整理する暇もなく、続いて黄色いシールの貼られた昆布だしを飲む。口の中でゆっくり味わうと、確かにドライトマトと通じるような“ボワン”とした味覚が、時間が経っても残っている。これが「うま味」なのか……と半分ぐらい飲んでいる私に、二宮さんがピシャリ。

「全部飲まないでください!それに緑のシールの貼っただしを入れて飲んでみてください」

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黄色のシールは昆布だし、緑のシールはかつおだし。合わせるのとそうでないとを比較すると、違いは歴然!だから「合わせだし」があるのだろう

「うま味は別のうま味と組み合わせることで、相乗効果が出るのも特徴なんです」

と、取材に応じてくれたもう一人の理事、石井正さん。前の「うま味」が“ボワン”程度だったこともあり、この組み合わせたうま味の鮮烈さに、一気に飲み干してしまう。

「そして今度は、青のシールと赤のシールの減塩野菜スープを飲み比べてみてください」

まだ「うま味」の特徴があるのか……と思いつつ、青のスープを飲む。薄味の野菜の風味が感じられる、やさしい味わいだ。次の赤のスープ(青のスープ+うま味調味料)を飲むと……今度は野菜の味わいの輪郭がくっきりと!これも「うま味」の力か。

「昆布のスープから思い出していただくとわかると思いますが、うま味は単体だけでは、それほど存在感はなく、主役にはなりえない。でも、ないと美味しさが足りないと感じる。そういう存在なんです」

なるほど、と味覚ではわかったような気がするが、その背景にある根拠がなんなのか、そしてそれが実際に世の中の食材にどのように影響しているのか、より詳しく知りたい衝動に駆られはじめる。その焦る思いをなだめるかのように、

「では最後に、パルメザンチーズを食べてください。これは、熟成によるうま味です」

と、二宮さん。「熟成」と「うま味」も関係ある?味わってみると……確かに「うま味」の要素はある。事実、和食におけるかつおぶしや昆布も、「熟成」による行程を経る。が、「熟成」しなくても「うま味」があるものもある。うむむ。その辺を整理すべく、「うま味」をより俯瞰して理解したい気持ちも強まるばかりだ。

まさに事前に体験をさせた、同センターの二人の戦略にはまってしまった形だ。ということで、この「うま味」体験をもとに、「うま味」についてより詳しく話を伺った。【次回に続く】

取材・文=種藤 潤
編集=大狼章弘

ビデリシャスより

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