内閣改造直前、石破茂ロングインタビュー。加計学園も稲田辞任も…安倍政権のすべてを語る
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内閣改造直前、石破茂ロングインタビュー。加計学園も稲田辞任も…安倍政権のすべてを語る

アベノミクス、憲法改正から直近の話題まで、石破氏は何を語る?

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Aug 01, 2017 by Suzuki Makoto Reporter

3 Lines Summary

  • ・雇用は増えても賃金が上がらないのは「中国の賃金に近づいているから」
  • ・戦争を全く知らない人間だけで、憲法の改正をしたくない
  • ・異論を許さない体制が自民党の驕りや緩みを生んだ

内閣改造まであと2日。

その去就が注目されているのが、自民党石破茂元幹事長だ。

ポスト安倍を狙う石破氏が、アベノミクスや憲法改正の今後、そして加計学園や稲田氏の防衛大臣辞任について、いま何を語るのか?

フジテレビ解説委員の鈴木款がロングインタビューした。

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石破茂氏

ーーまず、現状の景気認識と、政府が取り組むべき次の経済政策をどう考えるか? 

石破茂氏:
機動的な財政出動、大胆な金融緩和はそれなりに功を奏した。危機的な状況ということではない小康状態ということでしょう。

その次に何をやるかということで、そもそもデフレからの脱却がすべてなのだという話だったけど、デフレって人口が減れば、高齢化すればデフレになるに決まっている。GDPの6割は個人消費ですから、消費する人が減る、高齢化になって消費の勢いがなくなる、それはモノの値段が下がることも当然です。財政出動すれば、政府が支出するわけですから、GDPは上がるに決まっている。

 ーーでは日銀の大規模金融緩和は効果が出ていると?

 
石破:
そこは、マネーフローは上がっているが、マネーストックはそんなに上がっていない。

日銀と金融機関をぐるぐる回っているだけ。だとするならば、いかにして消費を上げるかということを考えていかねばならず、労働者が減るということであれば、生産年齢人口が減るわけだから、そこに女性なり高齢者なりが入っていかなければならないわけだから。

どの分野の生産性をあげていくのか、生産性を上げることによって雇用と所得を増すということになると人手不足な今だから可能であって。人が足りない時に生産性を上げても失業は起こらないので、どの分野のどこの生産性を上げるかと。

ーーアベノミクスは、雇用は生み出していますが、賃金がなかなか上がらない。

石破:
賃金が上がっていかないのは、はっきり言っちゃうと中国の賃金に近づいているからですよ。グローバル化ってそういうことなので、中国と同じものを作っていたら、賃金も中国に近づいていかなきゃ、競争力なんかもたないのでね。

中国にないものを作っていく、それはサービスであれ、モノでもそうですけど。そうでない分野は、その生産性をどうやってあげるのかというのが、次の課題というか、やらないといけないことでしょ。

ーー金融緩和のお金がどこに回っているかというと、日銀の当座預金であったり、企業の内部留保が膨らんでいる。それが賃金や生産性を上げるための設備投資に回らないと。この現状についてどう思うか?

石破:
何が生産性を上げるものなのか、なかなか企業にはわからないというところがあるのでしょう。地方の農林水産業、サービス業というのは、たとえば飲食宿泊は1人当たりの生産性がアメリカの4分の1であると。あるいは日本の農機具はやたらと高いとか。あるいはトヨタが農業をやるとコストが劇的に下がったとか。生産性を上げる、付加価値を高めるとかコストを下げるとか、とはかなり隔絶した世界がある。

その中でどれだけ投資を行うか?内部留保が多いのは大企業ではなくて、中小企業の内部留保のほうが比率としては多い。雨が降ったら傘を取り上げるのが銀行と思っていますから、例の「貸しはがし」とか言われた時に中小企業は嫌というほど身に染みているから、持つべくして持っている。

じゃあどの業種のどれくらいの規模の企業が内部留保持っているのか、単に内部留保が積み上がっていてけしからんとかにはならない。

ーーいわゆる規制産業、農業などそういったところにコミットして投資を強めていく考え方は?

石破:
あると思います。高い関税を払う、コメが典型ですが、国内でカルテルやってりゃあ農業はダメになるにきまっている。果樹とか野菜は競争力あるが、シンガポールで出回っているイチゴの5割はアメリカ、3割は韓国で、日本は1%だって。海外で稼がなければやっていけないというところまで危機感はないから、個々の農業者やJAが、シンガポールに行って勝負せにゃどうにもなんない。そういう環境を整えるのが、国の役割であって。

人口が半分になるといわれている、いかにして農地を維持し、いかにして農業と産業を維持するか、海外に出るしかない。2050年になれば世界の人口は100億になる、そうしたら食料争奪戦が始めるに決まっている。その時に農林水産業は今のままでいいですか、と。

漁業について言えばどれだけたくさん売るか、どれだけ魚一匹一匹に付加価値をつけるか、ということに代わっていかないと。それは流通の在り方の見直しなのでしょう。

 ーー地方活性化する場合に、国が主導してやっていくべきなのか、あくまでも主導権は地方にあるべきなのか?

石破:
地方です。
1718町村あるのだよ。鹿児島県霧島市や岡山県瀬戸内市、そこの経済がどうなっていて、そこにおいてどの分野にどのような支援をすれば最も適切かというのは霞が関でわかるわけない。

経済が成長して人口が増えているときは、みんな同じようなことやっていい。人口が減って、経済が伸びるってことありえないこと。1718の市町村には1718の正解がある。

市町村でそこまで徹底的に分析して、わが町をこうするっていうのが行われたのを聞いたことがない。地方創生のプロジェクトってそういうプロジェクト。

消費税は上げるべきだ

ーー少子高齢化で社会保障費が膨らんでいく。終末医療も介護難民も考えなければならない。国として社会保障費削減にどう取り組んでいくか?

石破:
かなり挑戦的な議論だが、医療とか介護とかは人を幸せにするためのものであって、単に長く生きるためのものではない。医療とか介護は人の幸せをどう実現するかのためにあるものだ。1時間でも1日でも長く生きさせることが医学の勝利だと、それは違う。本当に苦しみながら長生きすることが幸せなのか、それは違うだろう。だけど、医学教育というのは1時間でも1分でも延命することが医学だと。必要なものは、憲法に規定された1人1人の権利を守っていかなければいけないけど、医療介護が成長産業になっていかないと、ナショナルミニマムを維持しながら、それを上回るものを混合診療、混合介護みたいなものを見い出す必要があるだろう。

医療も介護も保険だが、公的資金がここまで入ると贈与の理論が入ってくる。純粋たる保険ではなくなってきている。贈与のメカニズムが入ってくるので、それが保険としての役割を果たしていない。自動車保険に入っているから、車を目いっぱいぶつける人はいないが、医療保険にかかっているからお医者さんにかからなきゃ損という人はいる。それはやむを得ないことだと思っているが、ここにおいて保険のメカニズムを効かせていかないと、消費税を何パーセントにあげても足りないということは起こるはず。だけど消費税を上げるということも社会保障の重点化も、それは有権者の歓迎するところではない。それをやるだけで政権が倒れるとするならば、結局サステナブルではない。

ーー消費税なくして財源をどう確保するのか?

石破:
きちんとした統計を出せと言っているが、亡くなった人は金融資産3000万ぐらいもっている。3000万を90歳で残しましたと、相続する人は60歳である、老々相続ですよね。

だけど3000万円が残ってそのうち1000万円が公的支出によって形成されたものだとすれば、それは次の世代もう一度戻してもらえませんかという考え方はあってしかるべきだ。消費税があげられればいいけど、社会保障もできればいいけど、そこは相当に難しいし、時間のかかることで、財源はどんどん必要になる。

例えば今言った循環型のそういう社会保障みたいなものも一つの考え方である。

ーー子育て世代にお金を回すためにこども保険、小泉進次郎議員が言っている話とか。教育国債とかは?

石破:
教育国債は次の時代へのつけ回しだ。あんまり私は賛成しない。

こども保険というのは結局保険のメカニズムはきちんと働きますかということですから、それを保険という名前にするから、無用の誤解を生むのであって、一つの考え方だと思います。ただそれに保険という名前を付けていくと、さっきの医療や介護と同じように、それって保険じゃないでしょというと。これは保険という組み方はしない方がいい。

ーーお金を回すサイクルとしては、消費税というのはどうお考えか?

石破:
私は上げるべきだと思っている。今後上げなかったら本当に大変なことになる。この国は必ずしも理論的に実証されているわけではないが、消費税を上げると景気が悪くなるって、その後の政策が非常に打ちにくい。時の政権の判断で消費税を上げたり、上げなかったりするのは、社会保障のサステナビリティから言って非常にまずい。仮に消費税を上げられないとしたらどうするんだ、無責任だと思う。

憲法改正は? 加計学園問題は…?

ーー憲法改正、総理は来年の通常国会に向けて日程を組まれている、このスケジュール感についてのお考えは?

石破:
9条に関して言えば、戦火の中を逃げ惑った人が存命のうちにやりたいと思っている。
私も安倍さんもまったく戦争なんか知らないし、もうすぐそういう人間ばっかりになる。

戦争を全く知らない人間だけで、憲法の改正をしたくない。早ければ早いほどいいが、それは議論を粗略にしていいということでは全くなくて、急げば急ぐほど濃密な議論を徹底してやるということが必要だと思う。いやしくも9条についていえば、極めて重要なもの。

憲法9条について自民党で平場の議論した時に来たのは100人ですから。いやしくも憲法ですから、禁足令出してでも全議員出て来いと、全議員自分の意見を述べよという姿勢が必要。我々が野党時代に作った草案に拘泥するつもりはないが、いったいこれはどういうものだったのかということを今の自民党議員の半分は知らない。それをかけて我々国政選挙を4回やっている。それは書いてみただけなんて、そんなこと許されない。

ーー「自衛隊認める」を加えることについては?


石破:
2項をそのままで、3項を付け加えるというのは、だったら最初から2項を削除すりゃいいでしょということ。なんでそんなトリッキーな手を使うですか。やり方として誠実だと思わないです。

ーー加計学園、閉会中審査あったが、国民の中ではもやもや納得感全くない、今総理官邸は何をするべきか?

石破:
閣議決定なんだから私が勝手にできるわけじゃない。つまり新しいニーズが獣医にありますと。それは感染症緩和なのか、生物化学兵器なのか。こういう新しいニーズがありますね、そうだね、それって今ある獣医学部じゃできませんよね、それはそれぞれの大学にできるんですか、できないんですかって聞いてみなければわからないことで、利害関係者に聞くことは意味がないなんて言い放ったら、なにも成り立たないですよ。今度の大学ならできますって言ったら、どんな教授なの、どんな研究設備なのっての明らかにならなきゃ、わからないですよね。

これから人口が減るんで、ペットも当然減るんですよね。人口が減ってペットが増えるってありえないので。今ペットのお医者さんはいっぱいいるけど、産業用動物のお医者さんはいないわけですよね。それの新しい獣医学部つくって、あなた方は産業用動物にしか従事しちゃいけないってやるんですかね?それって職業選択の自由に反しますよね。

だとしたら新しい獣医学部をつくって今の獣医さんの過不足の状況に悪影響与えちゃいけないということですよね。だって税金使って要請するわけですから。

ーー今回の議論の経緯の中で、前川前事務次官は行政がゆがめられたと、加戸前知事とは真っ向から対立している

石破:
4条件は満たされましたと、そうであれば総理の腹心の友かわかんないけど認める。どんな人でも4条件なければ認めない。それが行政の公平性ってもの。

それだけのことで、結論が出るにあたって、加戸さんが言っているのが正しいのか、前川さんが言っているのが正しいのか、結論見ればわかります。

ーー不祥事や失言が相次ぐ自民党内について、どう引き締めるべきだと?

石破:
わが党は国民政党なので、すごく幅広い意見を代弁している。特定のイデオロギーにも特定の支持層にも影響しない。そういう国民政党なので、労働組合でもなければ、共産主義を信奉する人たちの政党でもない。

そうすると、多様な意見があってそれをきちんと言える、そういうふうにすることじゃないんですかね。総務会もめったに開かれないし、そこで発言するのは私と村上(誠一郎)さんぐらいで、ぴたーっと黙っている。1回も発言しなかった人が多分7割、見たことがない。驕りとか緩みとか作ってしまったのは、それっておかしいじゃないと言うことを、封じてきたからだと思いますよ。

それを強権的に封じ込めた時に自民党というのは、国民との意識との大きなかい離を生じて、惨敗するんです。今までもそういう歴史でした。宮沢内閣の時に不信任くらって下野したのも、麻生内閣の時に下野したのも国民の意識とかい離を起こしたからです。国民がこう思っていますよということを言えない雰囲気になっちゃった。私が地方創生大臣の時に、閣議後会見で「自民党って感じ悪いよねって、思われないようにしなきゃね」と言いました。

「石破は自民党が感じ悪いといっている。けしからんやつだ」とワーッというわけです。

違うでしょ、異論を許さない体制、それが今日を生んだのです。

ーー内閣改造控えているが、打診された場合は入閣する?

石破:
そんなことにはお答えいたしません。だけど、それはなぜ今の内閣が急速に支持を失ったのか。まだ20%台あるから、だけど急速に支持率が下がっていることは事実で、どうしてこうなったっていうことが先でしょ。そこなくして、やっぱりベテランじゃなきゃだめだとか、あるいは異論を言うやつを内閣に入れて、異論を封じ込めようとか、そんなこと考えている限りだめですよ。

ーー稲田氏が防衛大臣を辞任し、閉会中審査には稲田氏を出さないと自民党が言っているが?

石破:
だから国民はますます変だと思う。それでもいいって覚悟しているんだから。それなりの審判を国民は下すでしょう。

自民党に代わる党がないうちは、本当に国家にとって重大な損失だと思いますよ。

「自民党って我々の考えていることわかってくれているよね」という、それはこまごました政策論ではないんですよ。サラリーマンはサラリーマンで自分の仕事に忙しいし、自営業者は自営業者で自分の仕事に忙しいし、専業主婦は専業主婦で忙しいし、ディテールについてなんてわかる余裕なんてあるはずない。だからこそ政治家がやっているわけ。

ディテールについてわからなくても、なんかおかしいって人は、すごく増えてきている。

それに稲田さんは出さない、新大臣が答弁する、特別監察も何が書いているのかよくわからない、記憶力が良い人が官僚になっている人が「忘れました」ばっかり、きちんと証拠を残すのが行政なのにありません、おかしいでしょってみんな思いませんか?

それにこたえないから、こんなことが起こっている。

だけどそれに対して内閣に弓を引くやつだとか、寝首をかこうとしているとあらぬ情報操作を行うから、ますますかい離はひどくなるわけ。

自民党が信を失った時に代わる党がないんだという責任感を私たちは持たねばならない。

別に私は大臣になりたいわけでもないし、だけど稲田さんについていえば、部会に来たこともない、安保委員会に所属したこともない、防衛政務官もやったことがない、そういう人が23万の自衛隊を統制できるってありえないことです。

どういう思いで安倍さんが彼女を大臣にしたのか知らないけど、女性初の総理にするためには必要なステップだ、そのために自衛隊を使うのですか?私は、それは考え方として間違っていると思います。そこは間違っていたって総括なくして、次は君だから大丈夫だろうねっていうのは、それは誰が言われても、言われた方も何なのだろうねって思うんじゃないですか。それは防衛に限らず農林だって厚労だって一緒です。

もし仮に自分が全然やったことのない大臣やれと言われたら、それはお断りしますね。

できる人はほかにもいますから、ポストって国家国民のためにあるもので政権のためにあるものでもなければ、個人の栄達のためにあるものでもないと、私は思います。

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