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ネットメディアを歪めているのは「広告」か?

【NewsPicks × ハフポスト × ホウドウキョク】“ネット時代”のニュースのあり方『新・週刊フジテレビ批評』The批評対談(2)

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Aug 12, 2017 by Shimizu Toshihiro Reporter

3 Lines Summary

  • ・記事を量産するネットメディアの目的は「ネット広告」
  • ・真面目にコストをかけているメディアが損をする
  • ・広告主のスタンスにも変化が出ている

記事盗用やキュレーションサイトの信頼性、フェイクニュースの問題など、様々なネットニュースを巡る話題に、各サイトはどう取り組み、ニュースをどう伝えているのか。3つのニュースサイトの運営責任者が語った。

佐々木紀彦(NewsPicks編集長)
竹下隆一郎(ハフポスト日本版編集長)
清水 俊宏(フジテレビ「ホウドウキョク」運営責任者)

コメンテーター:津田大介(ジャーナリスト) 

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ネットメディア全体の質を歪めている“本質”

津田(ジャーナリスト):
記事を量産しているネットメディアの目的はネット広告です。広告料を稼ぐのが目当てで、とにかく記事を安くローコストで量産し、その結果インターネット全体の情報が歪められてきています。

情報によってお金を稼ぐマネタイズ、それを可能にする広告業界が、ネットメディア全体の質を歪めてしまっている。それが一番本質的な問題です。

トランプ大統領が誕生した際、ヨーロッパのマケドニアで大学生や若者がトランプ大統領を支持するフェイクニュースをたくさん作り、それで広告料を荒稼ぎしていたというニュースが去年話題となりました。

ただ、一から捏造ニュースを作るのはコストも見合わず、すぐにばれる。そのため、実際に既存の新聞やテレビで流れたニュースを少しだけ変えたり、誇張したりして、極端な見出しを付ける。それが最もアクセスが集まり、儲かるんです。

このような「事実が含まれていないこともないが、全体の文脈で見ると全く違う」というニュースが今、ネットには溢れています。

新聞やテレビの場合、広告が出されるコンテンツは広告主が指定しますが、ネットの場合はそれが難しい。ネットメディアは無限に作ることができるので、1つのサイトが閉鎖されたら新しいサイトを作り、そこにまた広告を貼り付けることができてしまうんです。

情報を歪めて流しているモラルの低いユーザーが何らかの形で共有されて「この人には広告アカウントを作らないようにしよう」と対処しない限り、お金儲けのために情報を歪めて流す人は減りません。

そうなると、真面目にコストをかけて運営しているメディアが損ばかりする。記事を盗まれて広告料だけ持っていかれる構図があるんです。

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竹下(ハフポスト):
ネット広告も変わってきていて、広告主も怪しいサイトからは引き上げるなどの動きが出てきています。例えば「YouTubeにはアダルトコンテンツがあるから引き上げる」という動きがアメリカなどで起きています。

今の広告業界では「ブランドセーフティ」あるいは「オフィスセーフティ」という言葉がホットになっていて、「オフィスで見てもおかしくないサイトに自社の広告を出したい」という広告主の意向を汲んで、コンピューターが自動的に広告出稿サイトを判別できるようになっています。

そのため、徐々にですが、真面目に作っている人が報われる社会になってきています。


佐々木(NewsPicks)
広告だけに頼るというビジネスモデル自体がそもそも良くないです。

日本の場合は、ネットメディアの広告料金が世界的にもかなり低い。しかも記事のクオリティを広告料金に反映することが難しいので、安くてページビューだけを稼げるものを作って、クリックしてもらうシステムになっています。

NewsPicksでは3年前から基本的に有料課金でやっていて、ユーザーにどうお金を払ってもらうシステムを作れるかが勝負だと思っています。現在は、およそ4万人の会員がいて、月々1500円や5000円会員という制度も作っています。

Facebookでメディアが有料課金できるシステムを今年中に試験的に始めるというニュースが出ました。今後そういったプラットフォームが有料課金できる仕組みを作れるかどうかが大きい鍵を握ると思います。

信用度とクオリティが高ければ、きちんとお金を払ってでも見たいという人はいます。そして、そこでお金をもらえれば、記事にもお金を投入できて、取材もできるので、良い循環が回り始めます。

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Facebook、Google、Yahoo!がポイント

竹下:
広告主のスタンスにも変化が出ています。クリックだけに広告料を出すのではなく、テレビの提供番組のように一定期間スポンサーとなって、「自由に報道してください」という広告主も少しずつ出てきています。


津田:
プラットフォーム事業者に対しての風当たりも強くなってきているので、意識が変わってきています。

FacebookとGoogleは情報企業だと思っている人が多いですが、実際は広告会社です。GoogleとFacebookの2社だけでアメリカのネット広告の8割のシェアを取っています。世界最大の広告会社があの2社と言っても良い状況です。

つまり、FacebookとGoogleがネットニュースと広告の問題に対応し始めれば健全化するんです。議論もそうした段階に変わりつつあると思います。
 

竹下:
そのために日本のメディアも、例えばFacebookやGoogleにプレッシャーをかけないといけないんです。

アメリカのメディアは「おまえたちしっかりしろ」と言っていますが、日本のメディア企業はそこまで意識はいっていない。自分たちのビジネスの将来、あるいはメディアそのものを壊してしまう存在であるということを意識して、プレッシャーをかけないといけないです。
 

佐々木:
日本の場合はそれにプラスして、Yahoo!がポイントとなっています。Yahoo!の行動がネットメディア業界全体を決める状況になっているので、彼らがどう動くかが重要です。
 

清水:
ホウドウキョクはYahoo!にもコンテンツを出しています。スマートニュースやグノシーなど、大きなプラットフォームにも出しています。

スマートニュースでは「ホウドウキョク」というタブを作れるようになっています。Yahoo!は、シリアのニュースのような「大事だけどあまりクリックされない話題」をニュースとして提供すると、情報提供料としてPV単価とは別の対価を支払う仕組みを導入しています。

各プラットフォームの対応に満足しているわけではないですが、きちんと向き合えば何もしてくれないわけではありません。

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新・週刊フジテレビ批評「The批評対談」(2017年7月22日放送より)

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