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「正直、親がしんどい」実は身近な、親子の「呪い」への処方箋

特集「現代の『呪い』から解放される方法」第3回

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Aug 09, 2017 by editors room Reporter

3 Lines Summary

  • ・“親子だからこうあるべき”という呪縛が蔓延している
  • ・親を「カテゴリー分け」することが大事
  • ・介護問題は忘れていることが精神的にもラク

——どんな親でも大切にしなきゃいけない。親の面倒は自分が見なければ…。

親との繫がりにおける先入観は様々あり、時には“呪い”のようにまとわりついて離れない。たとえ親子関係が悪かったとしても、だ。その呪いから解放されるにはどうすればいいのか? まずは 、Sさん(37歳・男性)のエピソードを聞いてみよう。

自営業の父が高齢に。跡を継ぐべき?

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「私の家は自営業で、某カフェチェーンを何店舗か経営しています。父が30歳で脱サラし、途中失敗もありつつ軌道に乗せてきました。そんな父を小さい頃から尊敬していたのですが、大学生になったとき『就職するのはいいが、ゆくゆくは俺の会社を継いでくれ』と、長男だった私にプレッシャーをかけるようになりました。

もちろん、将来的にはその選択肢を頭に入れていたのですが、素直にわかったと言える年齢でもなく、『好きなことをして食っていく』と突っぱねてしまったことから、父と衝突を繰り返すように。それに加え、接客バイトをして苦手意識を持ってしまったこともあり、結局、卒業後は接客や経営とは関係のない仕事につき、父と口を聞かない期間が続きました。


何気ない会話が出来るまでに回復したのは、仕事が安定してきた30歳ごろです。今では仲も良好ですが、父は会社員にすれば定年を迎えている年齢。継ぐ・継がないの話題が、常に頭をよぎっています」

親を「カテゴリー」に当てはめる

Sさんは、家業の話題につながるのを避けたいがため、悩みがあったとしても、仕事のことを父親には話さないという。これに対し「親側が『子どもは違う人生』だと思ってくれればいいけど、組み込まれたら大変」と回答したのが、自身に過剰に干渉してくる母との決別を描いた漫画エッセイ『母がしんどい』の作者・田房永子さんだ。

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田房永子さん

「私の場合は、漫画家になることを応援してくれているにもかかわらず、若くして実家を出ることを邪魔されたり、一人で生活する上で親の干渉がすごかった。その一方で、私自身も一人っ子ということもあり『家を出てしまったら一気に老け込むんじゃないか』『寂しい思いをするんじゃないか』という怖さもありました。たぶん、お互い『親とはこうあるべき』『子どもはこうあるべき』という呪いにかかっているから、そうした問題が出てきたんだと思います。

結局、29歳の時に『もう無理だな』と限界がきて、連絡を取ったり交流することを一切やめました。親がどんな態度をとっても満足してくれず、お願いや頼み事などの要求を一切飲んでくれなかったとき、ふと『何でもかんでも私が悪いのか?』と考えたことがきっかけです。それまでは、『お前が悪い』と否定され続けても『私を愛してくれているから言ってくれるんだ』と信じ込んで、その度に自省していました」

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「いったん親のせいにしてみたら案外うまくいった」小学館

そうした“親子のあるべき姿”という呪いにかかっている人は少なからずいるはず。解き放たれる方法はあるのだろうか。

「私自身、精神科に行ったり、セラピーやカウンセリングなど、効果のあることはたくさんありました。しかしまずは、本を読むことをオススメします。“アダルトチルドレン”“毒親”など親子問題に関する本を読むと、次々と当てはまる事柄が出てきて、すごくホッとしたのを覚えています。

最初は、“毒親”という言葉を聞いても『ウチの親は違うし』と、認めることはしなかった。というか認めたくなかった。いま考えると、それも一種の呪いですね。親をそうしたカテゴリーにいったん当てはめてみると、精神的にも別の視点を持つことが出来ますよ」

40代にのしかかる「介護問題」

さらに、年代が上がるにつれてリアルに迫ってくるのが「親の介護」だ。年間10万人を超える介護離職者のうち、30~40代が占める割合は約3割(総務省「就業構造基本調査」平成24年より)。いつ始まってもおかしくない親の介護は考えざるを得ない。

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「キツいテーマですよね。私も、私と同じような経験をした読者の人と介護について話し合う機会があるんですけど、結論としては、『今は考えない』ということで落ち着いています。絶対に介護することになると決まっていないし。

親の未来を想像して今から不安になるのではなく、そんなことを忘れて自分のいまの人生を楽しんでおく。『あの人を介護しなければならないのでは』と考え続けるのと、気にせず過ごすのでは精神的負担がぜんぜん違う。まあ、私からすると介護について心配してる人=親と仲が良い人ですね(笑)」

田房さんは「女性同士だと『うちも同じ!』『本当にヤバいよね』と笑って言い合える。でも男性の場合は、同じ苦しみを持っていても、そうした息抜きの場が少ないんじゃないでしょうか。だから吐き出せる場を作ることも重要」とも語っていた。親との関係を周囲に話せず悩んでいる人は、現代社会における必須ツール・SNSで、抱えているものを“可視化”していくことから提案したい。

取材・文=東田俊介
イラスト=石井あかね

田房永子
1978年東京都生まれ。漫画家・ノンフィクションライター。母の過剰な干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたエッセイ漫画『母がしんどい(KADOKAWA/中経出版)』を2012年に刊行。同じ境遇に悩む女性からの共感を集めベストセラーとなる。著書に『いったん親のせいにしてみたら案外うまくいった』(小学館)『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~(竹書房)』『それでも親子でいなきゃいけないの?(秋田書店)』など多数。

現代の『呪い』から解放される方法
vol.3

「正直、親がしんどい」実は身近な、親子の「呪い」への処方箋(この記事)

3.5
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