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上司に「反抗する」ための安全かつ具体的な対策マニュアル

特集「現代の『呪い』から解放される方法」第4回

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Aug 10, 2017 by editors room Reporter

3 Lines Summary

  • ・残業まみれの社風を変えるのは、個人では不可能
  • ・有給や男性の育休取得。円滑に取得するには「既成事実」を作る
  • ・上司への反論。相手の印象を変えるには「裏の場」を使う

「働き方改革」の機運が高まっている。大手企業の過労死問題を背景に、さまざまな動きが加速し始めた。だが、それでも過酷な労働の現場はどこにでもある。そしてその原因となっているのが、職場での古い慣習や上司への気遣い、“なんとなく”で続いている非効率きわまりない職場環境だ。

まさに職場の「呪い」といえそうだが、実際にその呪いで苦しんでいる人は多い。中小企業に勤めるAさん(38歳・男性)の“苦悩”から紹介しよう。

うつや過労で倒れる前に…残業まみれの現場を抜け出すには

「『働き方改革』なんて言葉は遠い存在で、先月は2日しか休んでいません。そのうち1日は、過労のあまり職場で貧血を起こして休ませてもらったものです。社長や役員が『残業は当たり前』『休みも返上して仕事するのが俺たちだよな?』という思考なので、断る余地がない。僕の部下はさらに空気を読む必要があり、みんな休めないでいます。残業代もきちんと出ませんし、有給取得なんてもってのほかですよ」

休日出勤だけでなく、帰る時間も遅い。「繁忙期は三徹(三日連続の徹夜)も珍しくない」という。当然、そんな状況だから身体や精神を壊す人も少なくない。Aさんも、3年前にうつ病を発症して、休職した。

「半年ほど休職して、復帰後もしばらくは簡単な事務仕事につく形で、配慮してもらいました。でも、1年たったら元通りでしたね。友人は『転職すればいい』と言いますが、ある程度のポジションまで来ると、下手に会社を変えて一から出直す勇気もありません。自分が辞めたら、職場の仲間や部下がさらにきつくなってしまいますし」

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社風にのまれ、当然のようにサービス残業がはびこる職場。この呪いから解放されるには、どうすれば良いのか。精神科医であり、『職場にいる不機嫌な人たち(KADOKAWA)』などの著書がある西多昌規氏は、こんな考えを述べる。

“残業が当然”という空気は、会社全体の問題なので、個人の働きかけで簡単に変わるものではありません。上司に言ったところでもみ消されて終わりです。ならば、『労基署に告発する』という方法を取るしかないでしょう」

ただし、「ただ労基署に訴えるだけではダメ」で、残業時間のわかる資料や上司からの圧力が伝わる会話の録音など、「状況証拠を集めてからタレコミをしないと、労基署も動かない」と西多氏。残業の呪いを破るには、万全の準備を経て、外の機関を利用するしかないのだ。

なお、労基署は基本的に告発者の氏名を企業に明かさず対応する。匿名扱いとなるので、告発したことが企業に伝わる可能性は低い。とはいえ、それでも不安ならば、労基署に告発する際、自分の氏名を明かしてほしくない旨をきちんと伝えよう。また、同僚や上司から告発者として怪しまれないよう注意が必要だ。

有給申請は「既成事実」をつくって決心を変えないのが肝心

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Aさんの話にも出てきたが、日本はきわめて有給休暇を取りづらい風土がある。それこそ上司の顔色や社内の空気を気にする中で、なんとなく出来てしまった呪いだろう。これについて、西多氏はこんな解決策を提示する。

「なんの理由もなく有休申請をすれば、上司の圧力や直前の仕事状況で変更するのがオチ。であれば、動かせない予定を実際に入れてから申請するべきです。海外旅行の予約や、親が入っている介護施設の手続きなどもアリでしょう。上司が変更の要求をしにくいのはもちろん、自分自身も『この休暇は絶対に変更できない』と思える既成事実を作ることに意味があります

もちろん、最初に予定を決める際は「なるべく仕事に影響の出ない日程」を考えるべきだ。ただ、その後は一度申請したら動かせないものにする。そうやって有給取得の回数を増やし、いずれは誰でも自由に取れる“本来の姿”に変えていくのだ。

ちなみに、有給とは別に、最近は男性の育休取得も出てきている。これも認められるべき権利だが、西多氏は「男は仕事、女は家庭という考え方が多いのが現実」という。まさに職場の古臭い呪いだろう。

「まだまだ日本は進んでいないのが現状で、男性が強く育休を要求すると、たとえ認められても悪印象を持たれるかもしれません。ですので、最初は高い要求をしつつ、そこから譲歩して『妥協の産物』を狙う方が、相手の印象も良いでしょう。初めは2ヶ月育休をお願いして、最終的には1ヶ月にしてもらったり、あるいは時短勤務などを認めてもらったり。申請時にそこまで想定して話しましょう」

上司の意見が明らかに違う時、どんな表現で伝える?

残業や有給以外にも、職場の呪いはビジネスパーソンを苦しめている。上司への過剰な気遣いだ。Bさん(34歳・男性)の話を聞いてみよう。

「とにかく僕らの会社は体育会系で、上司や役員への気遣いや忖度がひどいんですね。たとえば毎週開かれる飲み会。ある役員がとにかく飲み会大好きで、どんなに忙しくても週に2回は呼ばれます。そのため、飲んだ後会社に戻って、残りの仕事を朝までやるような状況。最初は出世のためになると思っていましたが、今は苦痛でしかありません」

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こういった飲み会から抜け出せず悩む人は少なくないだろう。正面から「行けません」と言えれば苦労しない。それができない難しい問題だからこそ、西多氏はその対処としてこんな提案をする。

「いきなり一切行かなくするのではなく、まずは3回に1回欠席するなど、徐々に減らしましょう。大切なのは欠席の理由で、自分の家族の用事を使うのがベスト。嘘をつくのは気が引けるかもしれませんが、『母親のお見舞いで病院に行かなければならない』など、相手が渋々納得する理由を出します」

飲み会のほか、上司への過剰な気遣いとして「会議で疑問を出せない」「賛同するしかない」といった声もある。これも、非効率やストレスを生む呪いとしてありがちなものだ。いったいどうすれば良いのか。

絶対条件として、相手の顔を立てること。会議で疑問を挙げたり、細かく聞いたりするのは危険です。2人だけの時など、会議以外の場で話しましょう。その際も、ちょっと裏の手ではありますが、上司への反論ではなく、『上司が考えていたこと』というニュアンスにします。たとえば、『~するのが良いと思うんです。前にそういったことをおっしゃってましたよね』と伝えます」

これはこれで“過剰な気遣い”と思うかもしれないが、そこまでしないと古い呪いは消し去れないのかもしれない。

職場の呪いを解決するには、計画的に長期で行うのが大切。連綿と続いてきた慣習・風習だからこそ、じっくりと崩すしかないのだ。大変ではあるが、そうやって少しず呪いから脱却していこう。

取材・文=有井太郎
イラスト=石井あかね


西多昌規氏
精神科医(医学博士)、早稲田大学 スポーツ科学学術院 准教授。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。ハーバード大学医学部、スタンフォード大学医学部にて研究留学の経験も持つ。産業メンタルヘルスにも詳しく、ビジネスパーソンの心理やコミュニケーションに関する執筆も多数。著書に「『テンパらない』技術(PHP文庫)」「休む技術(大和書房)」などがある。

現代の『呪い』から解放される方法
vol.4

上司に「反抗する」ための安全かつ具体的な対策マニュアル(この記事)

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