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トヨタとマツダが“結婚”する? 両社の狙いと自動車の未来

<LivePicks>自動車ジャーナリストとアナリストが自動車ビジネスの未来を斬る!

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Sep 04, 2017 by LivePicks Reporter

3 Lines Summary

  • ・トヨタになくてマツダにあるものとは?
  • ・EVも万能ではない?
  • ・トヨタの作るEVとは?

「トヨタがマツダに出資してEVを共同開発する」というニュースが先ごろ話題となった。

国際自動車ジャーナリストの清水和夫氏と自動車アナリストの中西孝樹氏の2人がそのニュースの真意と、自動車ビジネスの明日を語る。(聞き手:池田光史NewsPicks記者 阿部知代ホウドウキョクキャスター)

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トヨタがマツダに出資した理由とは? 

池田:
2年前にトヨタとマツダが提携を発表して当時“婚約”とも表現され、今回資本出資で“結婚”と言われていますが、一般的に見てトヨタ側、マツダ側それぞれのメリット・デメリットはどんなものがありますか?


中西:
メディアは“結婚”と言いますが、5%の出資比率はまだ“結婚”の段階ではありません。マツダは独立した会社ですから、一線は超えていますが、結婚まではいかないです。


阿部:
話題の表現をありがとうございます(笑)

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中西:
2年前と今とでは状況が変わっていて、1つは、アメリカでトランプ政権ができたこと。アメリカでの現地生産のあるべき形はどういうものか考え直すいいきっかけになりました。

マツダはアメリカで売っている車の中で、アメリカで生産しているものはゼロなんです。トヨタも50%弱と少ないほうです。なので、両社ともアメリカでの生産率を高めたいという点で一致しています。

2つ目は、フォルクスワーゲンのディーゼル車の不正問題。これによりEV化の波が想定よりも早まったので、急ぐ必要があります。
そこで、マツダの持っているEV技術を活かせるという点が、両社が提携を結んだ大きな理由だと思っています。


池田:
清水さんはどう思われますか?


清水:
中西さんがおっしゃったことと、あとはマツダが今こだわっているシミュレーション技術、それは車両開発そのものの機能が多様化して来ているので、ひとつひとつテストをして作っていくのではなく最初から全体性能をイメージしながらモデリング開発をしています
これをトヨタと共にやっていくのではないかと思います。

EV共同開発はありそうな話です。マツダはロータリーエンジンを持っています。レンジエクスレーダー(EVの航続距離延長を目的に搭載される、小型発電機からなるシステム)の発電用エンジンとしてロータリーエンジンを使おうとしています。

これは、一時アウディがA1e-tronでやろうとしていたことなんです。マツダはロータリーをどうしようか悩んでいるが、今の時代ではEVのレンジエクステンダー用としてのロータリーエンジンで発電して走れば、バッテリーがない地域でも走っていけます。そういうオンリーワンの技術を持っているんです。

ロータリーだと水素でも動くので、完全なカーボンフリーのレンジエクステンダーEVを作ることができます。EVはCO2排出の観点でみると決して万能解ではありません。石炭火力発電で焚いてしまったら、ハイブリッドのプリウスの方がCO2排出量は低いです。

ただ「排ガス」という点において、都市部の大気汚染を考えるとEVは有利です。ドイツではフォルクスワーゲンの不正でディーゼルの先行きが怪しくなっていること、それにアウトバーンが老朽化して工事のためにあちこちで渋滞が起きています。渋滞している長距離トラックのほとんどがディーゼル、それも規制の緩かった10年前のユーロ4、ユーロ5のディーゼル車なんです。だから大気が澱んでいて、目がチカチカして臭いんです。70年代日本の都市部の大気汚染状態ですね。

そういう状況を感じ取ったユーザーたちが、「ディーゼル本当に大丈夫か?実は環境や健康によくないのでは?」と思うようになったんです。こういった背景もあってディーゼル批判が起こり、政治家たちもEVを推奨するようになりました。

EVはCO2排出面では万能ではないが、どうやって電気をつくるかへ立ち返ると、再生可能エネルギーですべてを賄えるわけではないし、ベースロード電源(一定量の電力を安定的に低コストで供給できる電源)が足りないという問題もある。

原発のない国は、石炭でベースロード電源を焚かなければならないので、これはかなり深刻な問題
です。

EVは多様性が出てくるはず

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阿部:
「EVと水素(燃料電池車)では、水素の方が環境にやさしくないですか?」という質問が来ています。


清水:
水素も作り方を間違えるとCO2を出してしまう。EVも水素も「真田丸」のようなもので兄弟なんです。敵陣営に分かれて「どちらか2択」とするのではなくて、両者とも走る動力は電気モーターなんです。

どうやって電気を貯めるのかというところが違うようなものなのです。「水素は電気の入れ物」と考えれば長期間保存できるし、再生エネルギーを使い電気と水があれば水素を作ることができます


中西:
大きな誤解があるのですが、水素エネルギーは1次エネルギーではないんです。水素は2次エネルギーで、ただで生まれてくるものではない。水から作るのではとんでもないエネルギーが必要になる。もっと技術的なブレイクスルーがなければ、難しい。しかしチャレンジをしなければ実現しない。

長い目で見ると、水素が2次エネルギーとしてもつ技術を確立しなければ、将来安心して暮らしていけない。
50年、100年単位で考えると、水素は非常に可能性が大きいものです。とはいえいまは電気に対する楽観論があります。電気はとても便利なのでこのインフラを拡大していくことは大賛成です。ただ、あまり勢いよく拡大してしまうと、負の部分が出てきて、かえって電気の普及を妨げることにもなるので、着実にEVを進化させていくことが重要だと思います。焦りすぎるのはよくないと思います。


清水:
どのようなEVを作って、どのようなニーズに合わせて使うかということを考えなければなりません。ガソリン車すべてにEVが取って代わるということはあり得ないです。バッテリーをたくさん作ればコストが下がると言われるが、私は古い車に乗っているのですが、鉛バッテリーを買おうとしたら今でも2,3万円するんです。100年前からあって、何十億個と作った鉛バッテリーでも、それくらいの価格です。

つまり、化学製品は素材コストがかかるので、なかなか量産コストで安くならないんです。そうすると、テスラのようにセクシーでちょっと高い車か、コモディティー化した街中を走るような小さい車か、あるいは、プラグインハイブリッド車のバッテリーとして使うか、その使い方がポイントになると思います。


中西:
EVは多様性が出てくると思いますね。

カローラのような車が世界を席巻するようなことにはならないでしょうね。だからトヨタとマツダが組む意味がある。マツダは規模で比較するとトヨタの10分の1ですが、それでもトヨタに負けない車づくりができる。

なぜかというと、彼らには骨太な将来を見通す力がある。「一括企画」というのですが、将来も含めて一括に企画をしたものをコアアーキテクチャーにする。さらに部品の共通化という概念ではなく、同じ設計概念を持たせることによって効率化をはかる。そして、モデルベース開発を使う。

この3つを使うと、非常に効率よく軽自動車から小型トラックまで、さまざまなタイプのEVを設計できるんです。
トヨタだとカローラのような車を設計する力はあるかもしれないが、ニッチな車を大量に生産するという点では器用でないと思います。だからマツダの力を活かせます。

トヨタ車を一気にEV化するという考え方よりはむしろ、多様化の中で、局地的にEVというものが生まれていく形
になると思います。
それに対応しようという狙いは読み取れると思います。

「EV」の未来や「自動運転」についてもっと聞きたい方はこちらから
https://www.houdoukyoku.jp/archives/0029/chapters/29172

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