大切な家族が「がん」に…長い治療生活のため覚えておきたいこと
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大切な家族が「がん」に…長い治療生活のため覚えておきたいこと

特集「今こそ身に付けたい『患者力』」第4回

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Sep 07, 2017 by editors room Reporter

3 Lines Summary

  • ・大病を患った患者の家族など近しい存在を「第2の患者」と呼ぶ
  • ・患者と話し合い、家庭内でのルールを決める
  • ・第二の患者は「自分自身」のケアも大切

重い病にかかった患者は、身体的にも精神的にも多大な困難を抱える。だから、周囲の人物のサポート、とりわけその患者にとって近しい存在、親や配偶者などの助けが必要である――このことに取り立てて疑問を抱く人は、おそらくいないだろう。


サポートする側は急な出来事に直面し、ときに自分の生活そっちのけで看病や各種手続きに奔走する。それも患者のためだから「仕方ないよね」と、はたしてそう一言で片付けられるものだろうか。


もちろん、病の当事者ではない。しかし、その精神的、身体的負担は実は大きい。このような大病を患った患者の家族など近しい人間を指して、「第二の患者」と呼ぶのをご存知だろうか。

自分も「つらい」と思ってもいい

漫画家の青鹿ユウさんもまた、「第二の患者」だった。当時婚約者だった現在の夫、漫画家の神崎裕也さんから、まさに入籍前日に大腸がんに罹患したことを告げられ、突然、看病の日々が始まった。そのときのエピソードがコミックエッセイ『今日から第二の患者さん』にまとめられている。

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『自分もしんどいと思っていいんだ』って思えたのは、『第二の患者』という言葉を知ってからです。特に、告知されてすぐの『私が支えなきゃ』と奮起してる段階では、夫だけじゃなく自分もパニックになって、突然の出来事に私自身も追い詰められていることに気づいていませんでした」


看病と夫の仕事のサポートで睡眠もままならないなか、周囲からは「アナタがしっかりしないと!」「一番ツライのは患者なのよ」の声。それも夫の体を心配してこその悪気のない言葉。しかしそれは青鹿さんの看病の姿勢への反省を強いる言葉も多く、そのアドバイス一つ一つに青鹿さんは消耗してしまった。そして、それらの負担が身体的な不調、まず不眠として現れたのだ。

「真っ暗の寝室に一人、眠れなくてスマホでなんとなく、打ち込んじゃったんですね。『がん 家族 つらい』って、罪悪感を持ちつつも検索して。そしたら、あるホームページに『がん患者の家族は患者本人と同様の感情や苦しみを抱くことから第二の患者とも呼ばれています』と書かれていたんです」

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その言葉が「告知されたときと同じくらい衝撃だった」と青鹿さん。「でも自分も患者なのかと思ったら、体の異変も当たり前の症状だな、と思えて興奮が収まりました。この不可解な症状に名前をつけてもらえただけでホッとしました」

患者と話し合って「ルール」を決める

「第二の患者」という言葉を知り、どうしてもつらいときは自分も同じく「患者」だと思えるようになった青鹿さんだったが、夫との闘病の日々はそれだけで片付けられるほど単純ではなかった。ときに衝突も避けられず、激しい言い争いになったこともあったという。

青鹿さんの場合は、告知から入院、手術と続く怒涛の時間を経た、退院後の療養の日々にとりわけ困難が多かったそうだ。

「私は、調べ出したらのめり込むタイプで、一日中、がんに効く療法を検索していたんですね。『あれもやってみよう、これもやってみよう』って、例えば知人からがんに効くというサプリを勧められたら『ちょっと仕事増やせば、毎月サプリ買えるし…』と揺らいだり。渦中にいると、病気に効くかもしれない情報を知っているのに患者にさせてあげないと、悪いことをしてるんじゃないか、と先の不安にかられその情報に振り回されて毎日ヘトへトになってました。

そしたら夫が「今の話をしよう」って。「それって一生できることなの? 僕は長く生きるつもりだから、それは一生続けられなくない?」と。

それで「ルールを決めよう」って。家庭内でルールがないから、他の人の言葉に惑わされちゃったりするんですよね。私たちのルールは『一生続けられることだけがんばる』というもの。これは2人で話し合った結果なんですけど、迷ったら必ず家庭内で話し合って結論を出す、ということ。患者と家族が決めたことが最良の結論だと思うので」

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2人が納得する「ルール」を、話し合いの上で設定する。それが求められるのは、患者と家族との療養生活が「今後も長く続いていく」からこそだ。

患者側、家族側、どちらかだけが我慢すれば上手くいくっていう考え方だと、長い目で見たらスムーズにいかないでしょう。もし、いっしょに長くいたいと思うのだったら、そのためにルールを変えないといけないと思うのです」

自分自身のケアも大切

第二の患者に常に付きまとう「つらさ」の一つが、やはり「自分は病気の当事者ではない」というもどかしさにある。それに対して青鹿さんは「自分ができることはここまでだ」と自ら線引きし、自分の役割を決めたことが助けになったという。

「療養生活の後半には、治療に直接つながる行為はお医者さんにおまかせして、それ以外のメンタル面のサポートと日常の体調管理に焦点を当てようと決めました。夫が嫌がること、喜ぶことはお医者さんではなく私が一番分かっているので。

例えば、健康的な食事もやりすぎると夫は窮屈に感じる。そのサポートは、自分が不安だからやるのか、患者が喜ぶからやるのか、どっちを向いてるんだろう? って自分で問いかけることが大切だと思います。熱心になるあまり、患者のほうを向いてないことがあるんですね」

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その上で自分のなかにある不安な感情に気づいたときには、その気持ちを蔑ろにせず自分自身をケアすることも大切。そんなとき青鹿さんは、夜の散歩に出て少しだけ夫と距離を取り、家族や友人と電話して気分を入れ替えたという。

「電話をする相手も分散させたほうがいいと思います。どうしても愚痴が多くなりがちなので、いつも同じ相手だとその人も疲れてしまう。病気の話題じゃないことを話したいときもあるので、そういう際は病気のことを知らない友達と病気のことを一切忘れて漫画や、趣味のPC関係の話をしたり。一方で、かなり深いことまで話せるのは妹など家族でした」

もちろん相談する相手は必ずしも家族や友人である必要はない。ソーシャルワーカーや看護師、患者会のメンバー、また医療費のことでフィナンシャルプランナーに相談するなど、頼れる先は様々にあることを知ってほしい。

「まだ第二の患者になってない方は、今から自分自身のこと、何をしたらうれしいのか、何を言われるとほっとするのかを発見してみてください。息抜きの方法も一人でできるもの、外でできるもの、ジャンルがいろいろあるといいですね。それを日常的に夫婦や親子で、お互い口に出してアピールしておけば、いざというときに役に立つはずです」

青鹿さんは「大切な人がいる限り、誰でも第二の患者になりうるんです」と語る。そして、自分が患者になるならば、その大切な人が「第二の患者」となる。もしものとき、その衝撃を少しでも和らげられるように、ぜひ今、知っておいてほしい。



文=高木沙織
まんが=青鹿ユウ

青鹿ユウ(あおしか・ゆう)

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漫画家。神奈川県出身。代表作に『M@te!!』『誰が殺したの?それは僕と僕が言った』などがある。婚約者(現・夫)の漫画家、神崎裕也氏より大腸がんを告白され、間近で看病した経験を赤裸々に描いた『今日から第二の患者さん がん患者家族のお役立ちマニュアル』でエッセイコミックデビュー。

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今こそ身に付けたい「患者力」
vol.4

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