文科省肝いりのスクールロイヤー制度って何?
Main 4bdc2f19 1f17 4f50 a8ff c10cd9728ab9
文科省肝いりのスクールロイヤー制度って何?

いじめ問題の解決は先生か弁護士か⁉︎フジテレビの鈴木款解説委員が解説する

Profile 95dc3715 a12e 46f1 85a0 2940b2b02b40
Sep 11, 2017 by Suzuki Makoto Reporter

3 Lines Summary

  • ・文科省はスクールロイヤーを本格的に検討
  • ・ いじめなどの学校内の問題の法的対応を期待
  • ・ 今後弁護士の学校事情への理解が必要

アメリカでは、学校に弁護士がいる制度は一般的だが、日本では大阪や岡山で一部導入されているほかは、全国的にはほとんど知られていない。文科省では、来年度予算の概算要求で、弁護士の知見や経験を活かしていじめ問題の解決につなげようと、調査・研究費用として約5000万円の予算請求を行った。

西山アナウンサー:
きょうはスクールロイヤーがテーマということですね。文科省の来年度予算の概算要求で、調査研究費用として約5000万円計上されて話題になったということですが…。

鈴木:
日本ではなじみの薄いスクールロイヤー。文字通り訳すと”学校内の弁護士”です。
文科省としては、いじめ問題について法律の専門家である弁護士の知識や経験を活かして、いじめの予防や解決につなげたいと予算の要求をしました。法律家ですから学校で起こる様々な問題、例えば教員による子供への体罰や不適切な言動の問題、学校内での子どもの事故、LGBTへの性差別、それにモンスターぺアレンツとよばれる保護者からの不当なクレームや近隣住民との問題、教員間でのパワハラやセクハラなどへの法的な対応、予防、解決についても今後期待することができます。

また、先生たちが学習指導や生活指導を抱えてブラック職場化している中、先生の仕事を法律の専門家にアウトソーシングして先生方の労働の負担を減らしたいという狙いも文科省にはあります。

文科省が学校内弁護士に期待する3つの役割

西山:
文科省は、学校内弁護士に具体的に何を期待しているのですか? 

鈴木:
様々な学校内の問題がある中で、文科省はまずいじめ問題について大きく3つの役割を期待しています。 1つ目が「いじめの予防教育」です。弁護士が生徒たちに直接授業をするのではなく、授業のモデルを作ったり教材を開発したりします。授業は人権の大切さやいじめの法律上の扱い、例えば、いじめは刑事罰の対象になることや損害賠償責任が発生することなどを教えるものになります。

西山:
先生がいじめの予防教育をする際にお手伝いを行うわけですね

鈴木:
そうです。2つ目が「学校での法的相談」です。弁護士が学校に法的なアドバイスを行ったり、教員向けに研修を行ったりします。 

 西山:
学校や先生への支援ですね

 鈴木:
3つ目が「法令に基づく対応」です。 学校がいじめ問題への対応を「いじめ防止対策推進法」など法的にきちんと行っているかどうか弁護士が確認するというものです。

西山:
スクールロイヤーと言っても直接生徒と向き合うことはないということですか。

 鈴木:
そうですね。今後そういったことも考えられるかもしれないのですが、来年度の対応にしてはとりあえずそこまではまだいかないと思います。

今年度は実験的に全国2か所で導入

西山:
この制度を来年度からどの学校でも導入するのですか? 

鈴木:
実は今年度から予算計上が始まったのですが、今年度は実験的に全国2か所で導入しているだけで、その有効性について調査研究している段階です。今年度予算は300万円です。来年度は予算を5000万円に増やして、これを全国10か所に拡大しようというものです。これとは別に大阪では大阪弁護士会と行政が数年前から一緒にやっているほか、岡山でも県と弁護士会でスクールロイヤー制度を行っています。ですから、全国的にみて初めの制度導入ではないのですが、国が動いて行うのは来年で2年目になります。

 西山:
まだまだこれからといった感じですが、この制度は他の国でもあるのですか? 

 鈴木:
アメリカでは一般的な制度で各学校や自治体単位で担当弁護士がいます。なぜこんなにスクールロイヤーが多いかというと、まずアメリカでは弁護士自体が多く、弁護士にアクセスしやすい社会だということがあります。実際、弁護士資格を持っている先生や校長もいます。アメリカでは、先生が担当するのは学習指導のみです。部活は地域で行うかコーチが別からやって来て行います。生活指導はカウンセラーがいます。そしていじめなど校内で起こる問題は弁護士が扱うという風に、役割分担ができています。

西山:
外国と日本では明らかに先生の負担が違うんですね。

鈴木:
違いますね。本当に日本の先生は大変だと思います。

第一人者の学内弁護士は、スクールロイヤーを時期尚早と指摘

西山:
では、いじめ問題解決のためにも出来るだけ早くスクールロイヤーの制度を導入したほうがいいですね。 

鈴木:
私もそう思うのですが、そうでもないこともあって、弁護士で先生もやっている学校内弁護士の第一人者、神内聡(じんないあきら)先生にお話を伺いました。いま日本では数十人のスクールロイヤーがいるのですが、そのほとんどが、自治体か教育委員会専属の顧問弁護士であって、学校の中で弁護士をやっている方はほとんどいないそうです。神内さんは今回文科省がスクールロイヤーの調査研究を広げることについて、賛成だけど反対という立場です。

西山:
賛成だけど反対というのは…? 

 鈴木:
つまりスクールロイヤーの制度自体は賛成なのですが、現状だと弁護士の中に学校現場の事情に詳しい人がいないので、時期尚早なので反対だと。神内先生によると、弁護士には現役の学校の先生と交流したり、研修を受けたりする機会がほとんどないということです。

弁護士に教師の経験がないのは仕方ないけれど、やはり学校・生徒・保護者それぞれの立場をちゃんと理解していないと教育現場にとって有難迷惑になりかねないというのが神内さんの主張です。

 西山:
しっかりと相互理解していれば先生たちの負担も減るし、地域と学校をつなぐいいことになりますよね。

 鈴木:
いじめ問題について、教育委員会が”いい解決”だと思うことと、現場の先生が”いい解決”だと思うことは異なるんですね。こういったことを理解した上で、子供たちのためにもまずは政府をあげて一歩踏み出してみることが大事です。ただ神内先生が言うように、準備は怠りなく、ですね。

西山:
今後も注目していきたいですね。

ビズスクール

→ 一覧へ

App icon

ホウドウキョク

ニュース

Fuji Television

Appstore badge

Google play badge

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

Profile 95dc3715 a12e 46f1 85a0 2940b2b02b40
鈴木款
Reporter
Thumbnail 2316d945 5ad5 4dda 82bc 41deb34a1694
文科省の若手官僚が立ち上がる。「改革派」教育者が集結
Mar 22, 2018
4.5
Suzuki Makoto
Reporter
Thumbnail 1f84b338 5fbe 4e06 a235 f7c8a39e3460
誰もが電気を作れる時代。生産者の顔が見える「みんな電力」の取り組み
Mar 14, 2018
5.0
Suzuki Makoto
Reporter
Thumbnail 20660b51 293e 4bcd 9b54 63aa1c90bb29
「日本の防災は意識が低い」防災ガール達の挑戦
Mar 11, 2018
4.5
Suzuki Makoto
Reporter