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【運動と脳の関係】10分動けば仕事の効率が上がる

特集「人生後半、作り直したいこのカラダ」第2回

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Nov 01, 2016 by editors room Reporter

3 Lines Summary

  • ・運動が前頭前野を活性化
  • ・気分をよくするだけなら運動は3分でもOK
  • ・やる時は気分良く。イヤイヤやると効果が減少!

運動をしたあとは清々しい気持ちになったり、疲れるどころか逆にやる気が出て仕事がはかどったり。それ、実は脳の働きと密接に関係しているって知っていましたか? 運動と脳の関係性について研究する、筑波大学体育系ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター長の征矢英昭教授にお話を伺いました。

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筑波大学・征矢英昭教授

皇居の周りを走るランナーには
脳へのいい影響がある?

「いくら健康にいいと言われても、人はそう簡単に運動しません。でも、皇居に行くと多くの人がお堀の周りを走っています。最近は若いビジネスマンも多いとか。おそらく、気分が前向きになり、仕事がはかどるなど効果を実感しているからではないでしょうか。実際に研究をしたところ、運動にはそうした効果があることがわかってきました。体を動かすことは、単にカロリー消費やダイエットのためだけではなく、気分や認知をとりもつ脳部位を適度に活性化し、快適な気分にさせ、仕事の効率を上げる働きがあるんです」(征矢英昭教授:以下同)

運動は前頭前野(外側部)を活発に

運動には気分を良くしたり、記憶力や注意・判断能力、集中力を高めたり、さまざまな情報を取捨選択して有力な情報だけを利用する「実行機能」(executive function)をアップする効果があると言われています。「これらは脳の中の前頭前野(背外側部)と呼ばれる部分が司っていて、要は運動を行うことで、その部位の神経が活発に働くようになるんです」

ただし、米国スポーツ医学会(ACSM)で謳っている、健康を保つための運動条件は意外と高く、心拍数は110〜130程度、1回20分〜40分のいわゆる中強度の運動を週に3回以上やるのが良いとされています。その代表的な運動が中強度のランニング。もちろん、皇居の周りを走る人たちのようにやっている人はやっているのですが、その他大勢の人たちにはなかなかハードルが高いのが現実です。

「多くのランナーは走るのが好きなだけでなく、健康のためやパフォーマンスを上げるためにランニングに取り組んでいるようです。代謝を高めてダイエット効果を得たり、筋力や持久力を上げようとしているんですね。しかし、中強度運動を30〜40分も続けるとストレスホルモンや乳酸が出始めてツラい気分にもなるので、よほどのモチベーションがないと続かないと思います。日本人の運動継続率は2割台ともいわれています」

でも、ご安心ください。気分を高揚させたり、仕事の能率を上げるだけであれば、もっと楽な運動でも十分であることがわかってきました。

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ハードな運動はもちろん理想的だが、無理のない範囲で早歩きをするだけでも気分のあがる効果が!

運動によって、脳と筋肉が
クロストークをはじめる

「実は前頭前野は、簡単な運動でもその働きが活発になり、認知機能を高めることがわかってきたんです。また、記憶機能を司る海馬にも同様の効果が見られます。具体的には心拍数は90〜100程度、1回10分程度の運動で実行機能が高まります。昼休みにちょっと運動するだけで、午後の仕事の能率が高まるわけです。例えば、ゆっくり走るスローランニングや早歩き、ゆったりとした動きの太極拳やヨガなどがこのレベルの運動に該当します。つまり誰でもできる運動で大丈夫なんです。10分程度なら毎日でもできるはず。慣れてくると20分程度も簡単にできるようになりダイエット効果も期待できます」

運動時には、意識を担う脳幹、意欲に関連した視床や前頭前野、そして最終的に運動の実行を指令する運動野などが興奮し、そこから筋肉に向けて信号を送ります。脊髄を下降して筋肉に到達するんです。一方、体を動かすことで筋肉が刺激されると、張力などの機械的変化や代謝物質などの化学的変化が信号として頭にのぼっていき、それがまた脳を刺激する仕組みです。

「筋肉に対して脳からの信号が届くことで初めて体が動きます。でも筋肉や腱、関節が動けば、逆にそこからの信号も脳に届く。脳と筋肉は互いにクロストークしながら力を発揮するんですね」

どうせ運動するなら、
気分良くやらないと損!

重要なことは気分が前向きの状態でないと効果が減少すること。

「イヤイヤ行ったり、ストレスフルな環境の中で運動するのではなく、気分よく運動することが大切です。快適な気分こそが運動による認知機能への効果を左右するのです」

動物実験では、数匹で一緒に運動する場合と、一匹だけにした状態で運動する場合では、後者の運動効果が半減という結果も出ているそうです。

そうであれば、気の合う仲間と汗を流したり、ひとりで好きな音楽に合わせて体を動かすなど、いかに楽しい気分で運動できるかがカギ。征矢教授は、運動の遊び的な要素を掘り起こしてライフスタイルに取り入れて楽しむことで、脳機能やメンタルヘルスを維持・増進することを脳フィットネス®と名付けています。そして、それを実現するために音楽を用いて意欲的に取り組めるSPARTS®体操や、フリフリグッパー体操と呼ばれる運動プログラムも開発しています。参考にしてみてはいかがでしょうか。

■征矢英昭
そや ひであき/筑波大学体育系教授。ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター長、医学博士。文科省頭脳循環プログラムのスポーツ神経科学研究拠点長として、カハール研究所、ロックフェラー大学、UC-アーバイン校など世界有数の研究拠点と「認知機能を高める運動効果」に関する国際共同研究を展開中。Frontiers in Physiologyなど国際誌の編集委員を務めるなど多岐にわたって活躍している。
http://soyalab.taiiku.tsukuba.ac.jp/

文=石川博也
撮影=鈴木慎平
イラスト=和田海苔子

人生後半、作り直したいこのカラダ
vol.2

【運動と脳の関係】10分動けば仕事の効率が上がる (この記事)

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