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当選しても議会が追放! 米上院議員選、異常事態の背景は?

アラバマ州の補欠選挙から見える日米選挙制度の違い <フジテレビ風間晋解説委員>

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Nov 15, 2017 by Kazama Shin Reporter

3 Lines Summary

  • ・ 共和党候補者に共和党内から「止めろ」の大合唱
  • ・ 予備選で勝った候補者を党は降ろせない
  • ・上院が議員を除名した例は150年以上ない 

セクハラ疑惑のロイ・ムーア候補に「追放」要求

来月12日に投開票が行われるアメリカ・アラバマ州の連邦上院議員補欠選で、共和党のムーア候補に対して、身内であるはずの議会共和党から「選挙戦から降りるべきだ」という声、さらに「当選したら、議会がムーア氏を追放すべきだ」という主張も出てくる異常事態となっています。

アラバマ州最高裁長官から連邦上院議員への転身を図るムーア氏については、当時は10代だった5人の女性が、「レイプしようとした」などと告発しています。今月、最初の告発が大きく報道されて以降、「実は私も‥」と立て続けに疑惑が湧き上がりました。30年以上前の話で、現在70歳のムーア氏が30代の地裁判事だった頃の出来事なのですが、例えば上院共和党のトップ、マコーネル院内総務は、「女性たちの証言は信用できる」と述べ、ムーア氏に選挙戦から身を引くよう呼びかけています。

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「公認」なし「党議拘束」なし 独立自尊の米議員

しかし、ムーア氏は疑惑を全面否定。最近のアラバマ州の世論調査では、ムーア氏が支持率で民主党候補をリードしているものも見られます。疑惑の候補者が当選する可能性が高まってきたことに危機感を強めた上院共和党全国委員会の委員長は13日、「ムーア氏が当選したら、上院は投票でムーア氏を追放すべきだ」という声明を発表するに至りました。

こうした異常事態に至った背景には、アメリカは有権者が予備選挙で政党の候補者を決めるのであって、党の指導部が人選して「公認」するのではない…という選挙制度の違いがあります。ある意味、トランプ大統領が、共和党主流派の猛反対にもかかわらず共和党の大統領候補となり、当選したのもそのおかげです。ムーア氏は9月の予備選挙で、そのトランプ大統領が推す候補者を破って本選挙に進んでいます。議員、とりわけ任期が長い上院議員は、党指導部に選んでもらったという恩義はなく、だから党議拘束も受けません。単なる投票マシーンではなくて、独立自尊の議員として議会活動できる点がメリットなのですが、内在する「制度の失敗」は時に表面化します。

ムーア氏が当選したら議会は「追放」できるのか

さて、当選したムーア議員を議会が「追放」できるかどうかですが、合衆国憲法第5条第2項は、「両議院は(中略)、3分の2の同意によって議員を除名することができる」と規定しています。しかし、アラバマ州の有権者の意思を、議員限りの判断で覆すのは容易なことではありません。政治的なハードルが高くそびえているからなのでしょう、上院議員の除名は、南北戦争との関連で行われた1861年以降、例がありません。ただし、除名のプロセスの途中で議員が辞任した例はいくつもあります。

何はともあれ、ムーア氏は選挙戦から降りるのかどうか。投票まで1ヶ月を切ったアラバマ州の補欠選は、思いもよらぬ理由で、全米の、そして各国のアメリカ・ウォッチャーの注目をも集めています。

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