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祝福できないなら、呪うことを学べ。人生に迷ったら役立つ「哲学のことば」

<実は身近な物語>現代に生きる哲学の教え

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Nov 23, 2017 by Shimizu Toshihiro Reporter

3 Lines Summary

  • ・哲学ブームが起きていると言われる
  • ・哲学はビジネスで悩んだ時の岐路などで役立つ
  • ・情熱をもって生きないと、自分の世界は妬みに支配されてしまう

実は“明るい教え”

同期が先に出世した。後輩が先に結婚した。それに対して、素直に祝福できない自分がいる。そんな経験を持ったことはないだろうか。

そうした心の揺れ動きに、ドイツの哲学者・ニーチェはこう説いている。

祝福できないなら、呪うことを学べ。

「呪う」とは一見穏やかではなく、ドキッとするような言葉だが、これは“明るい教え”なのだという。どういうことだろうか?

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「祝福できないなら、呪うことを学べ」

一般的には、「他人を祝福してあげること」が正しいとされている。

しかし、ニーチェは「祝福できない自分を恥じて、自分を否定することはない」と説いている。しかも、「道徳に支配されずに生きることが大事」だと語っている。

道徳は、みんながいいと思っているものをいいと思い込んでいるだけかもしれない。他人から言われたことを鵜呑みにするのではなく、一度疑うことで自分なりに考え直してみることが重要だという。ニーチェは、そのことを「呪うことを学べ」という言葉で説明している。だからこそ、“明るい教え”なのだ。

そして、こんな言葉も残している。

「すべての習慣は、我々の手先を器用にし、我々の才知を不器用にする」

これらの考え方は、100年以上前のヨーロッパで作られた哲学だが、現代の日本人に通じるところは多い。

自分のよりどころとなる教えを知りたい―。そんな声から哲学関連の書籍も多く出版され、「哲学ブーム」とも言われる状況が起きている。そんな中、京都に関する話題の書籍を選ぶ「京都本大賞」に、哲学本が選ばれた。

タイトルは『ニーチェが京都にやってきて、17歳の私に哲学のことを教えてくれた。』。ニーチェ、サルトル、キルケゴール、ハイデガー、ショーペンハウアー、ヤスパース。どこかで聞いたことがある名前の哲学者たちが、もし彼らが現代の京都にいたら、どんなことを教えてくれるのかを書いた本だ。

著者の原田まりるさんは、作家・コラムニスト・哲学ナビゲーターという肩書を持ち、元アイドルという異色の経歴の持ち主。尾崎豊の大ファンだった高校生の時、尾崎の歌詞と哲学の「なぜ生きるのか?」という考え方がシンクロしているとわかって、哲学にのめりこんだという。

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原田まりるさん

哲学とは何か?

「原田さんにとって哲学とは何か?」とまず聞いてみたところ、「騙されないために必要なこと」と即座に返ってきた。何に騙されないためかをさらに尋ねたところ、「常識ですかね。それも尾崎豊みたいですよね」と笑った。

原田さんは会社勤めの経験もあるそうで、哲学はビジネスパーソンに役立つものが多いと語る。

「仕事で『組織としての意見』と『個人としての意見』と、どっちを優先するかで考えたことがあって、そういう時も哲学の本を読んで励まされたりしました。実際の仕事に役立つというよりは、悩んだ時の岐路にどう役立つかだと思います」

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悩んだ時の岐路に…

本は17歳の女子高生が哲学を学んでいくストーリーだが、主要な読者は30代から40代が多いそう。「人生について、今一度とどまって考え直そうという人」に多く読んでもらいたいという。

「男性の42歳からと女性の33歳くらいからは『思春期』ではなく『思秋期』と言って、『俺の人生は本当にこれで良かったのかな』とか、『男性・女性として魅力を失いかけているんじゃないか』と心配になってきます。
そのため、いきなりSNSを始めたり、いきなり過激になったり、不倫をするとか、別居するとか、転職するとか、突飛な行動に出る。そういう方には哲学の考え方を読んでいただくと腑に落ちるものがあるんじゃないかなと思います」

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本の中には、たくさんの哲学の教えが出てくるが、その中でビジネスパーソンに特にオススメの言葉を選んでもらうことにした。

「色々と良い言葉があるんですよねぇ」と少し悩みながら、挙げてくれたのは、原田さんが一番好きな哲学者だというキルケゴールのものだった。

「情熱をもって生きないと、自分の世界は妬みに支配されてしまう」


キルケゴールによると、世の中は「一般的に良いとされるもの」に流される人がほとんど。自分の意見をしっかり持って、何かに情熱を注ぐ人がいても、大衆とずれていたら「あいつ変だよな」と軽蔑されてしまうという。そういった人は皆さんの周りにいないだろうか?

もし、「あいつ変だよな」と誰かを無意識にでも軽蔑しているとしたら、それは自分の人生ではなく、個性を持った人の人生を妬むことに時間を費やしていることになるという。

「そういう個性を持った人は、組織の中ではすごく扱いにくいだろうなと思います。自分が組織にいた時は、そっち側でした。私だったら、私のことを雇いたくないと思います。でも、自分で考えたことをやらないなんて嫌じゃないですか?」

「タイプ別」哲学者

哲学者にも当然、様々なタイプがいる。あえて現代風に言うなら、ニーチェは「IT企業タイプ」、キルケゴールは「クリエイタータイプ」、サルトルは「実業家タイプ」だという。

「箴言的なものを残す人、説教っぽいことを書いている人など、色々哲学者によって違っていて、自分にしっくりくる哲学者って人によって違うと思うんです。なので、本では、バリエーションは豊かめに、割と明るい人を集めました」

ニーチェは、辛いことや、過酷な状況が繰り返されるとしても「これは私が欲したことだ」と受け止めて“たられば”に縛られず生きることを説いている。それを「永劫回帰を受け入れる」という言葉で説明しているが、哲学本を書くような原田さんは、そうした境地に至っているのだろうか?

「私なんてまだ全然ですね(笑)自分の中でも、かなり『記号的なもの』にとらわれているなと思うことはあります。自分が望んでいるわけではないんだけど、何歳くらいまでにこれをして、何歳くらいまでにこうしないといけないと、自分をちょっと記号化して見てしまうところはあるなと思います」

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人は、あまり物事を難しく考えず、善人になる方が気持ちいいと感じるので、自分の感情にふたをしてしまうことがあるという。

「哲学なんて考えない方が楽だけど、そんな人生は嫌ですね。曇ったままの眼鏡でいるということですよね。自分の本質をとらえるということにすごく意味があると思います」

ドイツの哲学者ヤスパースも「万人に一致する真理や答えはない。答えを出すまでの過程に、哲学の意味が凝縮されている」と語っている。

ビジネスや日常生活などで「このままで自分はいいのだろうか」とモヤモヤがある人は、哲学に触れて、ゆっくり考えてみるのもいいかもしれない。

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実は身近な物語【ホウドウキョク図書館】
vol.6

祝福できないなら、呪うことを学べ。人生に迷ったら役立つ「哲学のことば」(この記事)

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