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信念を曲げて「いい人」に変貌すると、『トランプ相場』に悪材料?

トランプ次期大統領の『グッドニュース』と『バッドニュース』

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Nov 14, 2016 by Hiroki Takashi Commentator

3 Lines Summary

  • ・「トランプ氏の政策見極め」が相場の焦点。
  • ・「実利優先」なら世界経済への脅威が避けられる。
  • ・トランプ氏が「普通のひと」になると悪材料の恐れも。

「トランプ氏の政策見極め」が相場の焦点

米国大統領選の結果を受けた9日から11日までの3日間、東京株式市場は激しい値動きとなった。

東証1部の売買代金は9日に4兆円近くに膨れ上がったあとも、3兆4千億円、3兆6千億円と高水準を維持した。ヘッジポジションの解消や損切りに加えて、これまで取引を見送っていた主体も一気に動いた結果だろう。トランプ氏の財政出動の思惑から米国長期金利が急騰、金利差拡大を反映して円安ドル高が進んだことが日本株の追い風になった。

米国ではNYダウ平均が5日続伸し、過去最高値を連日で更新した。週間の上げ幅は959ドルに達し、過去最大となった。さすがに少しやり過ぎだろう。ユーフォリア的な相場つきに映る。

トランプ氏の政策の見極めが今後の相場の焦点であることは間違いないが、政策の実現性について現時点で判断するのは至難の業であるため、当分の間、様々な思惑が交錯することになる。よって市場の変動性はしばらく高い状態が続くだろう。

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トランプ氏の政策をどう見極める?

「信念を曲げやすい」のはトランプ氏

例えば、財政政策についても、どこまで、何ができるかわからない。共和党の主流派、下院議長のポール・ライアン氏は大統領選挙で勝利したトランプ氏と緊密に協力し、共和党の政策を積極的に推し進めていく姿勢を表明したが、それはあくまでも「共和党」のためであって、「トランプ氏」のためではない。

選挙直前に発覚した女性に対するわいせつな発言を巡ってライアン氏とトランプ氏の間には決定的な溝ができている。ポール・ライアン氏はそうした対立感情はさすがに表に出さないだろうが、「信念」は軽々に曲げない。

ポール・ライアン氏は「財政タカ派」、すなわち財政健全化を旨とする保守本流だ。トランプ氏の財政出動、減税などを易々と承認するとは思えない。信念を曲げやすいのは政治家でなく実業家のトランプ氏のほうだろう。

実際にその兆候は早くも見え始めた。トランプ氏は、オバマ大統領との協議を受けて医療保険制度改革法(オバマケア)の一部の維持を検討する意向だ。大統領選後初のインタビューでウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に明らかにした。オバマケアの全廃は公約に掲げていたはずである。これは財政負担を嫌う共和党の議会ともめるだろう。


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トランプ氏は、オバマ大統領と10日にホワイトハウスで会談した際、オバマ大統領から直接考え直すよう求められ、それが自身の考えを変えた大きな理由だと説明。「オバマ大統領に提案を検討すると伝えた。大統領の意思を尊重し検討する」と述べた。

「信念」よりも「実利」を優先?

これはグッドニュースでもありバッドニュースでもある。

グッドニュースであるのは、トランプ氏はひとの意見を聴き、自分の考えを変えることのできる人物であるかもしれないという希望が出てきたことだ。実業家として、ここまで成功した人物である。柔軟な思考を持ち合わせていてもおかしくない。

これは僕の主観だが、彼は信念などより実利を優先するタイプの人物だろう。そもそも選挙期間中の数々の言葉は、「信念」や「政策」というよりも、選挙に勝つための「撒き餌」だった可能性がある。大統領の座を手中にした今、より穏当で現実路線に軌道修正を図っていくのは不思議なことではない。保護貿易主義の拡大や米国の孤立主義鮮明化といった世界経済にとっての脅威が避けられる希望がある。

しかし、政策実行の不透明さは無論、バッドニュースでもある。

財政出動を織り込んで米国の長期金利が急騰し円安が進んだ。それを好感して日本株も大きく戻した。ところがトランプ氏は公約で掲げていた政策をそのまま実行に移すかわからない。期待先行で相場は動いたが、やはり時期尚早だったと、これまでの反動が出ないとも限らない。

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トランプ大統領誕生で日本株も直後の急落から大きく反発したり、NYダウ平均が過去最高値を更新したりしたのは、勝利宣言したトランプ氏のコメントから過激な発言が消えたという安心感もあった。これまでが過激過ぎたので、普通になるだけで「案外、いいひと」という評価になる。

しかし、トランプ氏が「普通のひと」になったら、彼が掲げた一見無謀とも思えるような政策はただの「アドバルーン」だったということになりはしないか。オバマケアの一部維持検討という彼が見せた寛容さは、「トランプモード」で突っ走った市場にとっては実は悪材料であるかもしれない。

“トランプ大統領”就任までのカウントダウン

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