誰もが電気を作れる時代。生産者の顔が見える「みんな電力」の取り組み
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誰もが電気を作れる時代。生産者の顔が見える「みんな電力」の取り組み

激変する日本の電力業界

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Mar 14, 2018 by Suzuki Makoto Reporter

3 Lines Summary

  • ・「顔の見える電力」が求められる時代が来る
  • ・電力会社を選ぶという新たな市場が生まれた
  • ・今後大きなフックは「脱炭素社会」

福島第一原発事故から7年。

その間、日本の電力業界を取り巻く状況は激変した。

原発の安全神話が崩れ、国民の誰もが事故前に考えることが無かった、「今使っている電気はどうやって作られているのか」「コンセントの先には何があるのか」を否応なく考えることになった。

そして、電力自由化が始まり、これまでの電力9社による地域寡占は崩れ、多くの新たな電力会社が誕生した。

消費者は電力会社や電気料金だけでなく、電源まで自由に選ぶことが可能になったのだ。

こうした中、農産物のように生産者の「顔の見える電力」を供給する取り組みを行っているのが「みんな電力」だ。

東日本大震災直後に設立された「みんな電力」は、日本各地に増えている地域や個人経営の「発電所」を消費者に結び付けている。

その設立者である大石英司社長に話を聞いた。

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「みんな電力」大石英司社長

誰でも電気を作れる時代になる

ーーまず、設立のきっかけを教えてください。

2007年、私が凸版印刷の新規事業担当だった頃ですが、電車の中で携帯のバッテリーが切れそうになったとき、そばにいた女性が充電器で携帯を充電していたんです。

そのとき私は、「この女性に電気料金を払ってでも充電したい」と思ったのですが、ふと「そうか、これからは誰でも電気を作れる時代なんだな」と気づいたんですね。

しかも「このきれいなお姉さんの電気だったら、高く買ってもいい」と(笑)。

ーー個人個人が発電できるようになると気付いたのですね?


極端なことを言えば、自転車でだって発電できますよね。

技術革新で誰でも電気を作れるようになれば、子どもが作った電気を親が買うとか、あちこちで電気が出来る。

電気には色がないから誰が作ったかというのは価値がないと言われていますが、電気に「色」があっても面白いのではないかと。

さらに、電気は富を生みますから、「個人が電気を作れば富が分散化して、貧困や格差の解消につながるのではないか」と思ったのが起業しようかと思ったきっかけです。

ーーそこに東日本大震災が起こった。


起業しようかと思っていたら311が起こり、その5月に起業しました。

電力のことはよくわからなかったのですが、2016年の電力自由化で「顔の見える電力」が求められる時代がやってくると。

たとえば、テレビを観ているときに、この電気はどこかで石炭が焚かれていたり、原発が動いているのではないかと意識するようになる。

そうすると電気料金を払うなら、自分の故郷や、顔の見える人に払いたいと思う人も出てくる。

コンセントがどこにつながっているのか明らかにすることで、農産物のように電力の生産者を選びたい人もいるんじゃないかと思いました。

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電力の生産者は個人や企業など

ーーしかし電力の生産者といっても、電気は農産物と違って実際に「色」がついていませんよね。

確かに一旦出来た電気は送電線網に入ると一緒になります。

ただ、お金を例に挙げると分かりやすいのですが、たとえばAさんが北海道のATMで1万円を、東京にいるBさんの口座に振り込みます。

Bさんは東京のATMで1万円を受け取りますが、物理的に言えば北海道の1万円札と東京の1万円札は違いますね。

でも、確実に送金関係は成立しています。

電気の世界はこのお金と同じ考えなんです

ーー電力の生産者は、どのような人たちなのですか?

ENECT(エネクト)というウェブサイトを立ち上げています
ので、これを観て頂ければ、電力の生産地・生産者がわかります。

生産者は、自治体や個人、企業などで、たとえば長野県が運営する水力発電所ですとか、農業従事者のソーラーパネルによる太陽光発電、バイオマス発電もあります。

比率でいうと供給する電気の約8割が再生可能エネルギー、つまり太陽光、水力、バイオマスです。

また、ミュージシャンが発電所を運営して、売電しているケースもあります。

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ーーお客さんはどのような人たちなのですか?

いま顧客は個人では関東だけですが約1500件、法人は北海道、沖縄を除く全国で約450件です。

東電管内で弊社が調べたところでは、電力自由化開始から1年の間で電力会社を変えた人は7~8%でした。

先んじて電力を自由化したイギリスでは10年間で50%の人が電力会社を変えましたが、日本の初年度のスイッチ率はイギリスより高いので、経産省は「上々の滑り出し」と言っていますね。

電力会社を自ら選ぶニーズが顕在化したので、新たな市場が出来たと思っています。

大きなカギは「脱炭素社会」

ーー企業側の反応はどうですか?

企業経営者が電力を選ぶ際、社会のサステナビリティ=持続可能性と電気料金のどちらに重きを置くか迷うところですが、いまのところ「1勝1敗」ですね、笑。

いま東京電力ですと、火力が9割を占めています。

もちろん火力はベース電源として必要ですが、今後大きなフックとなるのは、「脱炭素社会」だと思っています。

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ーー「脱炭素革命の衝撃」ですね。

日本は中国やアメリカに比べると、脱炭素が遅れています。

パリ協定以降、アメリカのアップルやグーグル、フェイスブックなど世界的な企業が、「RE(Renewable Energy)100」、つまり「私たちは使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にします」と宣言しているのです。

「RE100」はいま世界的な投資基準となっていて、投資家たちは各企業に「どのような電源を使っているか」報告を求め、結果を公表しています。

石炭火力などを使っていると株価がドカッと落ちるので、どの企業も脱炭素をやらざるを得ないのですね。

「RE100」はいま世界全体で100社以上が加盟していますが、日本でもこの動きが広がっていて、リコー、積水ハウス、アスクル、大和ハウス工業の4社が加盟しました。

ーー「みんな電力」は今後どのように展開していくのですか?

来年度計画の売上は、40億円くらいです。

いま従業員は30人ですが、電気の需給調整システムは自社開発のソフトウエアで、PCでオペレーター2人でやっています(笑)。

今後はブロックチェーンを活用して、より「顔が見える」仕組みづくりをしていきます。

テクノロジーの進歩で、いまに送電線が無くても、電気の移動ができるようになりますよ

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