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常に“秒単位”での戦いが強いられる
オンエアギリギリまで粘る記者の姿

『チャンネルはそのまま!』を大人が読み解く

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Nov 19, 2016 by editors room Reporter

3 Lines Summary

  • ・「規格外の人員」は意外と求められている
  • ・報道の現場は常にギリギリの戦場
  • ・想定外の決断を下すリーダーシップも必要

第1回のテーマは「報道」。1冊目には『働きマン』(安野モヨコ/講談社)を取り上げ、報道現場の過酷さについて読み解いてみた。
2冊目は、『チャンネルはそのまま!』(佐々木倫子/小学館)。1冊目に引き続き、“テレビ局の元報道番組プロデューサー”“某Web媒体の女性編集者”“クライアントというカタチでメディアと関わっている一般の方”の3名を招き、座談会を開催した。
さて、本作から見えてきたものとは?

ピックアップした作品

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『チャンネルはそのまま!』(佐々木倫子/小学館)
テレビ局に「バカ枠」として採用された雪丸花子が、周囲の人々を巻き込みながら記者として成長していくさまを描いたコメディ。失敗を繰り返しながらも決してめげず一生懸命な雪丸は、かわいらしく憎めない。「愚直にがんばることの大切さ」を学ぶことができる作品だ。

報道の現場は常にギリギリの戦い

――本作の主人公・雪丸花子は「バカ枠」としてテレビ局に採用されていますが、実際にそういう人はいるんですか?

イトウ(PR関係勤務):冒頭から「あれこそ『バカ枠』の真骨頂でしょう」なんて言われてますけど、テレビ局に限らず、ちょっと変わった子を採用しようっていうのはありますよね。

タバタ(テレビ局員):そうですね。面接をしていても、ちょっと光るものがある子は残しちゃうかなあ。

ヤマモト(Web編集者):実際にこういう「規格外の子」っていますか?

タバタ:先輩には結構いるんだけど、後輩はどうだろう……。

ヤマモト:雪丸みたいに一生懸命なんだけどちょっと抜けてるところがあって、いつも失敗ばかりする子が入ってきたらどうします?

タバタ:それはかわいいから育てますね。いまって、失敗したくないから何もしないって子が多いから、何かにチャレンジして失敗しちゃう子はかわいいですよ。これが5年目とかだと困るけど(笑)。

イトウ:PRの現場でも多分おもしろがられると思いますね。ただ、めちゃくちゃかわいがられるか、徹底的に否定されるかのどちらかでしょうけど。でも、みんなが怖がってなかなか話しかけられないような人の懐にスルッと入っていけそう。

ヤマモト:失敗してもカバーしてあげたくなるかも。ただし、一番大切な仕事は任せられないかな。

タバタ:それは同意しますね(笑)。

イトウ:第19話で雪丸が原稿作成やテロップ、地図の発注が遅れたせいで放送ギリギリまで修羅場だったシーンがありましたけど、あれって現実にも起こり得るんですか?

タバタ:ニュースの現場だとありますね。本当にオンエアギリギリに駆け込みで間に合うっていう。でも、それってみんな最高のものが作りたいからなんですよ。雪丸の場合は能力に問題があるけど、基本的には誰かしら「よく間に合ったな!」っていう経験をしてると思います。

ヤマモト:職業柄、心臓を悪くする人とかいないんですか?

タバタ:まあ、いなくはないですよね……。やっぱり常に張り詰めているので、ストレスはあると思います。だから、雪丸の「いや~案外間に合うんですね~このタイミングでも」ってセリフは実際によく言ってましたよ(笑)。

モノ作りとはチームワーク

タバタ:そもそも、この作品はコメディタッチですけどディテールが非常にリアルに描かれてるんですよ。

イトウ:一般の人が想像するテレビ局のイメージを上手に拾ってる感じがしました。そして、バタバタしてるのに、不満を口にする人が出てこない。みんなイキイキしていて、仕事に真っ直ぐですよね。

タバタ:僕もテレビ局に入社した時は夏休みなんてないもんだと思ってたんだけど、一週間もらえた時は逆にびっくりしましたよ。もちろん、いまどき残業自慢なんて流行らないけど、それでも徹夜とか泊まりで働くことにも意味はあると感じてますし。

ヤマモト:自分のなかで意味を見出していればいいっていうことですよね。

タバタ:そう。それと、リアルってことで言うと、第21話の視聴率強化週間のエピソード。

イトウ:情報部の小倉部長が「全社あげてラーメン週間だ」ってはりきる話ですね。

タバタ:ああいうチームワークを感じる瞬間って本当にあるんです。バラエティのチームから連絡がきて、「今度、総理官邸のコントをやるんだけど、実際の建物内ってどうなってる?」って聞かれたり、「夏のイベントを計画してるんだけど、報道チームでも何かできない?」って協力を要請されたり、みんなで一つのものを作ろうとする一体感って気持ちいいんですよ。さすがにラーメン特集はやったことないですけど。

イトウ:ラーメンに絞る小倉さんもすごいですよね(笑)。僕の業界でも同業他社がすごく多いので、売れてるブランドに勝つためにいろんな戦略を練るんです。だけど、小倉さんみたいに思い切った決断ができるリーダーシップって、結構大事なんだなって思わされました。

ヤマモト:モノ作りってそういうことなのかもしれないですね。

今回のフキダシズム

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「いや~案外間に合うんですね~このタイミングでも」
記者である雪丸が、編集マン、音効さん、美術さんらに散々迷惑をかけた後、あっけらかんと呟いた一言。報道の現場でいかにギリギリの戦いが繰り広げられているかが表れている。

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「全社あげてラーメン週間だ」
バラエティ、報道、スポーツ、全番組で「ラーメン」を特集するため、部長が放った名言。軽々しい発言のなかに、「みんなで一つのモノを作り上げる」という気概が含まれている。

今回の参加者

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タバタ(30代後半/男性)…複数の報道番組にてプロデューサー経験を持つ報道マン。現在はコンテンツサービスの編集長的役割を担う。少年時代にハマった作品は『シティーハンター』『YAWARA!』など。

ヤマモト(30代前半/女性)…出版社や広告代理店などを渡り歩き、現在はフリーライターとして活動中。某Web媒体の編集者としても勤務。幼少期には『りぼん』『なかよし』系の少女マンガを読んでいた。

イトウ(30代後半/男性)…大学卒業後、アパレル系企業へ入社。以降、プレスとして広報宣伝、販促などに携わる。報道メディアにはクライアントというカタチで関わっている。少年時代のマンガ読書経験は少なめ。

構成・文=五十嵐 大

【特集「大人のフキダシズム」】

第1回  親が死んでも仕事を優先? 報道現場で働く記者の本音

第2回  常に“秒単位”での戦いが強いられるオンエアギリギリまで粘る記者の姿(この記事)

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