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血液検査で胎児のダウン症を診断…
高齢妊娠、そして「新型出生前診断」の現実と課題

日本産科婦人科学会は、認定を受けずに「新型出生前診断」を行っていた3つの施設の医師を先日処分しました。
高齢妊娠の増加もあり、受診が年々増加する「新型出生前診断」。
診断結果によっては、妊婦さんと家族は重い判断をしなければなりません。
ただ、そのために与えられる時間はとても短いことはあまり知られていません。

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Dec 17, 2016 by Tetsuro Takayama Commentator

3 Lines Summary

  • ・血液検査のみで胎児のダウン症等の染色体異常を高い精度で診断 
  • ・ 異常確定後、妊娠継続か否かの決断までのリミットは1カ月弱
  • ・ 今後はドイツのような情報提供とカウンセリングの拡充が肝要

妊婦の血液10cc採血で「ダウン症」等の可能性を診断

2013年4月から開始された「新型出生前診断」とは、妊婦さんの血液中に含まれる胎児のDNAを最新の医療技術を用いて検出し、胎児の13、18、21番染色体の数が正常かどうかを調べ、ダウン症等の可能性を診断するもの。
これまでの出生前診断である羊水検査等は、針で母体を傷付けるため流産のリスクが0.3%ありましたが、新型出生前診断には全くありません。

検査を受けるための条件や費用は?

この検査は日本医学会から認定を受けた病院で受診しなければできません。
今回のように無認可で検査を請け負う施設には要注意です。
また検査を受けることができるのは次の方です。

1)出産予定日時点の年齢が35歳以上
2)過去に染色体異常の出産
3)本人または夫が染色体転座保因者
4)超音波検査等で胎児に染色体異常の可能性

費用は、保険が適用されないので、一般的には20万円前後となります。

80~90%の高い的中率

診断精度も飛躍的に高まっており、80~90%前後の確率で胎児の先天性異常を予見することができます。陰性的中率に至っては99.9%以上という驚異的な数値を記録しています。

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ただし陽性の場合も、診断確定のためには羊水検査を必要とします。

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異常確定の90%超が中絶を選択

新出生前診断を2013年4月の検査開始から3年間で、受診した人は3万615人でした。
そのうち、染色体異常の疑いがある「陽性」判定は547人。
確定診断のため、羊水検査に進んで異常が確定したのは417人でしたが、その94%に当たる394人が人工妊娠中絶を選択しています。
長らく妊娠を望み、ようやく授かった妊婦さんも多いことでしょう。その決断に至るまでの心中は察するに余りあります。

「重い判断」のリミットまでは僅か4週間!

では、決断するまでに与えられる時間はどれくらいあるのでしょうか?
新型出生前診断が受けられるのは、妊娠10週以降です。
新型出生前診断で陽性と出た場合に受ける羊水検査は、妊娠15週からしか受けられません。
羊水検査の確定診断が出るまでに2週間程度必要です。
“最速”のパターンで確定診断が出たとしても既に17週です。
一方、人工妊娠中絶は、21週までに行わなければなりません。22週以降の人工中絶は違法となります。

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つまり、確定診断が陽性だったとき、妊娠継続するかどうかの判断をする時間はわずか4週、1カ月弱しか残されていません。
もちろん意思決定が遅れるほど、母体のリスクは大きくなります。
しかも18週以降は、一般的な妊婦が胎動を感じ始める時期でもあるのです。

ドイツでは「妊娠葛藤相談所」での相談を義務付け

海外でも新型出生前診断は広がっています。
では、陽性確定の妊婦さんに、どのように対処しているのでしょうか。
たとえばドイツでは、お腹の子に障がいがあるとわかった場合、検査を行った医師は妊婦への「妊娠葛藤相談所」の紹介が義務付けられています。
公的な相談機関としてドイツ全国に1500カ所設置されています。
混乱する妊婦に対して、専門相談員のカウンセリングを、何度でも無料で受けることができます。 
妊婦とその家族が、あらゆる可能性についてじっくり話し、必要な準備が出来ます。
同じような体験をした人や、支援団体も紹介してもらえます。
ダウン症の子を産んで育てる女性に会って、出産を決意するケースもあるようです。

さらなる情報提供とカウンセリングの充実を!

厚生労働省の研究班が、昨年 日本ダウン症協会の協力を得て、協会員5025世帯に行った意識調査では、「毎日幸せに思うことが多いか」との質問には「はい」が71%、「ほとんどそう」が20%でした。合わせると9割以上の人が幸せを感じているとの結果が出ました。(12歳以上852人が回答)

日本でも、新型出生前検査を行う医療機関では、検査前後に夫婦に遺伝カウンセリングを行うことになっています。
しかし現実には、異常が確定した場合、中絶すると決めて来ていることが多く、カウンセリングが形式的になってしまう場合も多いようです。
今後は多様な情報提供と、さらなるカウンセリングの充実が望まれます。

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