モーリー、北方領土の今を見る
「緊張感あふれる沈黙を感じる」
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モーリー、北方領土の今を見る
「緊張感あふれる沈黙を感じる」

16日、日ロ首脳会談が行われました。
その成り行きを特に熱い想いで見つめていたのは、北方領土にルーツを持つ元島民の方々でしょう。
その想いを知るため、モーリーが彼らの元を訪ねました。

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Dec 18, 2016 by Morley Robertson World

3 Lines Summary

  • ・ロシア政府により北方領土はますます日本から遠ざかっている
  • ・島民2世も自分たちのルーツへの想いを抱き続けている
  • ・返還の利益は、漁業衰退の窮地に立っている根室にももたらされる

択捉(えとろふ)の今

ロシアの実行支配が続く北方領土の中で、最も大きな島、択捉島。
この島には真新しい映画館があり、ここでロシアの新作映画も見ることができます。
さらに温水プールも備えたスポーツ施設も。住民が持て余しているように見えるほど広大なこれらの娯楽施設は、ロシア政府により、ここ数年で一気に整えられました。

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ロシア人の声

現在、およそ6000人のロシア人が暮らす択捉島。71年前まではこの島におよそ3600人の日本人が住んでいました。
今では、日本人が生活していた痕跡を見ることができる場所はごくわずかです。

下の写真は、氷柱が垂れ下がった海沿いの施設。露天風呂を楽しんでいたのは、本土からきたロシア人女性でした。
「ユジノサハリンスクから出張で来ました。心地よさと体に良いことを同時に楽しんでいます」

最近、択捉島でロシアが進めているのは、温泉などを利用した観光地化です。また、北方領土ではロシアによる軍事拠点化も急速に進んでいます。先月には択捉島や国後島に新型のミサイルシステム配備されたことが明らかになったばかりです。

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モーリーが見た北方領土

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モーリーが立っているのは北海道の最東端、納沙布岬。
普段は見えるはずの北方領土の島々がこの日は吹雪の中に隠れていました。
最短の島までの距離はわずか数キロ。しかしその数キロが遠いまま長い時間が過ぎました。

「終戦後70年以上ずっと日ロがここでにらみあってきたんですけど、緊張した沈黙が続いてきた地点に立っていることを自覚しています」

元島民の思い

モーリーが訪ねたのはそんな北方領土の元島民のお宅。

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歯舞(はぼまい)群島の一つ、志発島の元住民、木村芳勝さん、83歳です。

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木村さんが見せてくれたのは家の登記簿です。

「ここに住んでいたという間違いない証明書になりますよ」

島民2世の思い

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元島民木村さんの息子は今、東京で暮らしています。
落語家の三遊亭金八さん。北方領土で暮らしていた人たちを親に持つ島民2世の一人です。

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9年前、父親らとともに志発島を訪ねました。

「島でホタテがたくさんとれていたの。家の前の浜にもホタテの貝殻が何枚も落ちていた、大きいやつがね。それは間違いなく日本人がむいたものだから」

そのホタテの貝殻に名前を書き、家のあった場所に置いてきました。

「だから今度行った時それがあればいいよね。なんかそうすれば新しい時間も流れるんじゃないかと思って…島に」

暮らしたことがなく、暮らすつもりはなくてもそこは自分たちの島。その想いは消えません。

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北方領土返還の最前線の街、根室。根室には北方領土の元島民や、その家族が多く住んでいます。
モーリーが訪れたのは北方領土返還活動の拠点、千島会館。
出会ったのは3人の島民2世です。

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歯舞群島の勇留島の2世、米屋聡さん。見せてくれたのはその勇留島の写真です。

「僕の母親、そして祖父、曾祖父、歴代伝わってきたルーツになります。今自分があるのはそこで漁業をやって養ってきたから、今自分がここにあるんだという思いを込めて返還運動をずっとやってきました」

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国後(くなしり)島の2世、法月信幸さん。島を訪ねたときの写真を大事にしていました。

「実際に行って、日本人の墓地があって日本人の住んでいたルーツがあって、茶碗のかけらがあった、博物館に行ったら日本人が使っていた刀があった、何があった。これはやっぱり日本の島なんだ。もう親は死んでいるんですけど、親と一緒になって返還運動をしないとダメだと、どういう気持ちに段々となりましたね」

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色丹(しこたん)島の2世、荒井秀子さん。

「うちの母親の故郷はここで、私のルーツはここからなんだなという感じ」

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近くて遠いもどかしさの中で島民2世も自分たちのルーツへの思いを抱き続けています。
彼らの思いに耳を傾け、冬の海の向こうに島々の影を感じたモーリーが伝えたいこととは…。

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市川:
今回、北方領土の元住民と、住んだことはない2世の思いを根室で聞いてきたわけですけど、実際行かれてどういう風に感じられました?

モーリー:
納沙布岬には資料館があり、その中にジオラマがあります。北海道の端から始まっており、北方四島が隆起しています。その北方領土の端にカムチャツカの端が見えているのですが、端の部分しかありません。実際はもっと伸びており、端だけだと全体像が見えてこないので、なぜロシアがここを軍事拠点として譲らないのかという地政学が見えないと思ったんですよ。こういうジオラマのフレーミングは、北方四島への熱い思いは表しているものの、ものの見方次第によってはなぜそれが奪われ続けているのかということが解明できる地図ではないと思いました。

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市川:
サンフランシスコ条約で、千島列島元々日本が放棄した過去もありますよね

モーリー:
そうなんですよ。だからもう少しカムチャツカまで伸びていた方が、ロシア側の視点も理解できるんじゃないかと思いました。両方の視点が分からないと、返還に漕ぎ付けるのは難しいのではないかと思います。もう一つ伝えたいことは、やはり元島民の方やそのご家族の強い想いですね。立ち話で2世の方から、根室の漁業が長らく低迷しており、かつて流網漁法という漁法があったものが国際条約で禁止されてしまって以来、根室は段々と衰退してきたという話を聞きました。今回北方四島あるいは二島が返ってくるとすると漁場が広がるので、それによってまた流網ができるという直接の利益が根室にとってありますね

市川:
感情論だけじゃないことを実際聞いて分かりました

モーリー:
だから実際、根室のためにも漁場として欲しいです。しかし一方で、そういう漁場の拡大がないと根室単体では弱ってしまっているという奥深い問題も感じとりました

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