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今のうちから“直視”しておきたい「親を看取る前にするべきこと」

特集「40代。実は身近な『死』の存在」第1回

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Feb 06, 2017 by editors room Reporter

3 Lines Summary

  • ・“親の死”で多くの人が直面する困難は、「相続財産」と「戸籍謄本の収集」
  • ・生前に、私たちが準備すべきこと/できることを知り、対処しておきたい
  • ・生前に親子で話し合うことこそが、親孝行のあるべき姿

長寿の時代とはいえ、いつまでも生きられるわけではない。なかでも、近い将来、最も身近で接することになるのが“親の死”だろう。葬式や相続など、何となく理解してはいるが、何を備えておくべきなのか。“町の司法書士”として数多くの相続手続きなどに関わってきた司法書士の児島 充さんに話を聞いた。

“親の死”で巻き起こる困難

悲嘆の波が打ち寄せる“死の瞬間”。身近な人が亡くなれば、感情に溺れそうになるが、現実的な問題も巻き起こる。高齢な両親が亡くなる瞬間の圧倒的な現実としては、“延命治療”を行うかどうかもそのひとつ。親の生命を左右する決定は、かなりのストレスがかかるのは想像に難くない。

また、死後の手続きでよくある困難事例としては、次の2点が挙げられると児島さんは語る。

「ひとつ目は、“相続財産として、何があるのかわからない”という状況です。一緒に暮らしていれば、通帳や不動産の権利証などの大切な書類がどこにあるのか、またどの銀行にお金を預けているのかがある程度わかる方も多いでしょう。しかし、親子が離れて暮らしていて、日常的な情報共有がないと、いわゆる“家探し”が必要になることもあります」

どの金融機関に預貯金をしているかわからない場合もある。そんな時は、心当たりのある金融機関に片っ端から問い合わせなければならないうえ、確認をとるための書類も金融機関ごとに提出しなければならない。さらに困るのが、ネットバンクやネット証券会社などデジタル上で管理していた財産。通帳が発行されない場合も多く、契約時の資料などの手掛かりがないと情報を把握するのは極めて困難だという。

「ふたつ目は、“戸籍謄本を集めること”。遺産相続の手続きでは、原則として故人の0歳から現在までの戸籍謄本等の提出が求められます。他に相続人がいないことなど相続人を特定する作業ですが、例えば引っ越しのたびに本籍地を変えている人だと、過去の本籍地を順番にたどっていくという作業を何度も繰り返さないといけなくなります」

役所の確認、発行(郵送の場合は返送)を待つ時間がそれぞれかかるため、1カ月以上時間がかかる場合もある。悲しみに暮れる遺族に追い打ちをかけるようだが、相続に関する手続きには、相続放棄や相続税申告など期限が定められているものも。集め始めるのが遅いと、各手続きを行う際に支障が生じる場合もあるのだ。

生前に、私たちが準備すべきこと/できること

では、これらの混乱を回避するために、生前に私たち、子の立場からしておくべきことは何なのだろうか?

延命治療については、「家族など身近な人たちにとって、延命治療をどうするかという決断はとても難しいものです。何らかの希望があるようであれば、やはり親御さんに書面で残していただくようお話しいただくのが望ましいです。具体的には『尊厳死宣言書』や『エンディングノート』などによる方法です」と児島さん。

「尊厳死宣言書」とは、“傷病が不治かつ死が迫っている場合、延命措置を断る”などの意思を示す書類。例えば、日本尊厳死協会に入会すると、書面を保管してくれるほか、コピーがもらえて、それを家族などに渡しておくことができる。「実際は、その希望どおりの医療を実現してもらえるか、という問題は残るのですが…」と児島さんは続けるが、判断に困った時、遺された我々の指針となるのは間違いないだろう。

また、死後の手続きに関しては、

「やはり、親子間で日頃から情報交換をしておくことが大切です。子どもの立場からは提案しづらいところもありますが、やはり親御さんには、遺言とエンディングノートを書いてもらうことをおすすめします。遺言がなくても相続の手続きは可能ですが、親が死ぬと家族間の力関係が変わり、思わぬ不和が生じることもあります。エンディングノートには、老後の生活や葬儀に関する希望や身近な人たちに伝えておきたいことなど遺言には記載しないさまざまな情報を残すことができます」

最近はデジタル遺品といって、ブログやSNSの扱いも問題となっている。故人の意向もあるだろうし、アカウントを削除すべきか、遺された人の困りごとにもなりがち。生前に意思を示してもらうことが最善の方法なのだ。

また、一歩進められるのであれば死後に必要となる費用の試算なども行えるとベスト。なかでも「葬儀費用をどこから工面するのか」「(相続税がかかる場合)相続税を納めるための資金をどのように準備するか」は重要だ。主な遺産に不動産しかない場合は、売却費用を相続税に充てるなどの対処が必要だが、必ずしも、すぐに売却できるわけではない。

亡くなった後のこと、事前に想像することの大切さ

しかし、親との関係上、なかなか話し合うきっかけがなかったり、遺書を書くのを促したりするのは難しい場合もあるはず。そんな時は、「死後の手続きに関する書籍などを読み、何をどうすればいいのかなど、道筋を知っておくだけでも最低限の対策にはなると思います」と児島さん。

亡くなった直後に行う死亡届提出などの手続きは、一般的に葬儀社が案内をしてくれるため、指示に従っていれば問題はないそう。しかし、その後の預貯金口座の解約や生命保険、年金関係の手続きなど、人が亡くなった後の手続きというのは多岐に渡るのだ。

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一部の手続き・届け出には、期限の決まっている項目も少なくない

出典:(著)児島明日美、福田真弓、酒井明日子、(監修)児島充『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』(自由国民社)p12-13より引用のうえ一部改変

両親にも、最期の時は必ず訪れる。話題に出しづらいことではあるが、安心して余生を送ってもらうためにも、生前に話し合いを持つことが親孝行のあるべき形といえるだろう。




児島 充さん
K&S司法書士事務所代表。中央大学を卒業後、司法書士試験に合格。東京都千代田区の司法書士法人での実務経験を経て、平成20年に現在の事務所を開業。累計発行部数が50万部を超えた『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』を監修。著書に『自分でできる不動産登記』がある。

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文=向川 毅
イラスト=さのさくら

【1】 今のうちから“直視”しておきたい「親を看取る前にするべきこと」(この記事)

【2】 「安価」「自分だけ」がキーワード。葬儀とお墓は今どうなっているのか?

【3】 他人事じゃない! 40代で「突然死」を防ぐための「今すぐできる対策」とは?

【4】 手遅れになる前に…人生を“生き直せる”40代からの「新終活」とは?

【5】 禅僧が語る。40歳から「死を考えること」は、今を生き直すこと。

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