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生徒の8割が留学生
7つの国を渡り歩いて学ぶ大学「Minerva Schools」

「Minerva Schools」が狙う、既存教育の大変革

取材・撮影=#LYVE(ハッシュライブ)

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Feb 13, 2017 by Mitsuhashi Yukari Reporter

3 Lines Summary

  • ・「Minerva Schools」創業者・Ben Nelson氏にインタビュー
  • ・生徒は7つの国を渡り歩きカリキュラムを学ぶ
  • ・限りなくオンライン化することで、学費を低価格に

スマートフォンやタブレットの普及によって、変革を迎えている教育市場。この領域は、教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせて、「Ed Tech」などと呼ばれる。とある調査によると、グローバル教育市場は2020年までに毎年17%ずつ伸び続け、その市場規模は2,520億ドルに到達する見込みだという。

Ed Techと一口に言っても、その領域は幅広い。教育機関などが活用するプラットフォーム、スマホにダウンロードする語学アプリ、はたまた「Udemy」や「Udacity」のように幅広い教科のオンライン講座を提供するサービスなどが該当する。最近では、留学生の北米就職を支援するキャリアコーチング「Paragon One」のような特化型サービスも増えてきている。

学校に通うという選択肢しかなかった以前に比べて、学び方の幅は確実に広がっている。ところが、「学校に通うという従来型の教育」に限定して見てみると何百年も前から同じまま。そんな変化に乏しい市場にメスを入れるのが、新鋭の教育機関「Minerva Schools at KGI」だ。創業者のBen Nelson氏に話を聞いた。

Minerva Schoolsとは

「Minerva Schools」は、2014年9月、カリフォルニア州の「KGI(ケック・グラデュエイト・インスティテュート)」と共同で開校した、世界でも最も革新的な4年制大学です。クリティカル(批判的・客観的)な思考力やコミュニケーション能力といった、社会に出てから真に役立つ能力を育むカリキュラムが特徴です。

生徒は、卒業までの4年間をサンフランシスコを含む世界7つの国際都市を移り住みながら学習します。具体的には、サンフランシスコのほか、ベルリン・ブエノスアイレス・ソウル・ハイデラバード・ロンドン・台北の7つの国際都市を移動する仕組みです。Minervaで同級生と共に学びながら世界の多様性を肌で感じ、自分の出身国を合わせて8つの異なる視点を垣間見ることができるのです。

Minervaの学費は、一般的な大学に比べて約3分の1にとどまります。年間費用は30,000ドル(1ドル100円の単純計算で300万円)ですが、その半分以上が部屋の賃料や食費といった生活費。キャンパスやスポーツ施設などが不要なことで学費を抑え、幅広い学生に門戸を開くことができています。

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既存の大学教育システムにある課題を解決

世界中の大学や大学院教育は、過去数百年間変わっていません。生徒の受け入れが比較的小規模なのはどこも同じ。学習モデルは、専攻を一つ絞って学ぶ、または北米に多い幅広い授業を同時に学ぶかの二択です。北米では、教授の研究費用が生徒の学費に一部組み込まれていたりすることで学費が高騰し、ローン返済に苦しむ苦学生が少なくありません。

Minervaは、既存の教育システムの課題を解決し、21世紀にふさわしい教育を目指しています。まず、生徒の選考における差別をなくすこと。例えば、ハーバード大学が国外から受け入れる生徒は全体の10%にとどまり、米国市民以外への差別が顕著です。いっぽうのMinervaは、海外からの留学生が約80%を占める国際的な環境です。

また、講義での一体感を高めるため、「Active Learning Form」という学習プラットフォームを独自に開発しました。従来の大学に多い大講義は一切なく、各セミナーの生徒数は20名以下。教授と全生徒が画面に同時に映し出されるため、生徒の関心を常時とらえることができます。また、講義の完全なオンライン化によって、データに基づいた改良も可能です。

我が校の一番の特徴は、そのカリキュラムです。批判的またクリエイティブに考え、人と効果的にコミュニケーションをとること。課題を細かな要素に分析し、それに対する解決策を考えること。生徒のこうした基本的能力を育むカリキュラムの効果は実証済みです。2学期間学んだ後にインターンシップに参加した生徒の大半が、IVY League(アメリカ合衆国の名門私立大学8校の連盟)の4年生に匹敵する、またはそれを上回る仕事のオファーを受けています。

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Minervaへの入学の倍率は2%

昨年の入学志望者数は、16,000人に及びました。その中から入学するに至ったのは、2%にとどまります。Minervaのマーケティングというと日常的なSNS活用くらいですが、斬新なコンセプトに着目したメディアからの取材は少なくありません。また、世界中の「才能」を発掘してくれる個人やパートナー組織の協力、さらには口コミの力で生徒が集まっています。

Minervaは大学院のプログラムも展開していますが、生徒選考の基準は大学と大学院ともに同じです。面接や試験は、授業と同様、すべてオンラインで行います。例えば、口頭のインタビューでは、あらかじめ録音した質問が流れ、それに受験者が答える様子を動画で撮影します。筆記試験の最中もそれを録画します。極限までのオンライン化が、選考プロセスを含むあらゆる業務を効率化し、学費の低下という形で生徒に還元されるのです。

生徒の選考に際しては、大きく3つのことを見ています。まず、厳しい授業にきちんと取り組めるかどうか。嫌なことや困難が立ちはだかっても、諦めずに突き進めるかどうか。次に、口頭および筆記のインタビューを実施することで「個人」を評価します。最後に、学習環境の外で成し遂げたこと、例えばボランティア活動もそうですし、過去に直面した問題やそれをどう乗り越えたのかを参考にしています。

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数十年をかけて「知恵」が重んじられる教育を

21世紀の教育のあり方として、Minervaはあくまでひとつの答えです。すべての大学がオンライン化される必要はありませんし、答えは複数ある。世界には膨大な数の”間違った答え”が存在しますが、今後、正しい答えが増えていくのではないかと思っています。卒業生の大多数が社会でめざましい活躍を見せる、マサチューセッツ州のエンジアリング専門大学「Olin College」などはその好例です。

Minervaのミッションを平たく言うなら、「世界のためになる知恵を育むこと」です。重要な意思決定を任される世界中の人材が、無知や不確かな事実に頼るのではなく、知恵を持ってそれを行うこと。私たちのカリキュラムやグローバルロテーションといった独特の教育環境が、より理性的で賢明な意思決定につながり、社会に好影響を与えるはずです。

私たちは、「全く新しい、世界でも最良の大学を開校した」と胸を張って言うことができます。でも、Minervaの展望は、数十年をかけて初めて達成できる長期戦です。教育市場の課題にスケールを持って取り組むためには、既存の教育システムの参加が欠かせません。Minervaの存在が世界中の大学にプラスに働き、「知恵」を重視する授業が浸透していく。そんな未来を、数十年かけて形にしていきます。

https://www.facebook.com/hashlyve

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