メガネ万引き 防犯カメラ映像「そっくり男」逮捕!画像の一般公開は正しかったのか?
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メガネ万引き 防犯カメラ映像「そっくり男」逮捕!画像の一般公開は正しかったのか?

万引き疑惑の人物を撮影し画像公開すると、逆に名誉棄損で訴えられてしまうという…一体どうすればいいのか

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Feb 18, 2017 by compass Reporter

3 Lines Summary

  • ・店がやったことは原則として名誉棄損
  • ・犯人が店を訴えたら負ける
  • ・数万件も見過ごされている万引き
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東京・北区で眼鏡の高級フレーム3本、56万円相当を万引きした疑いで23歳の白川雄貴容疑者が逮捕された。白川容疑者は、台東区上野の眼鏡販売店が防犯カメラ映像をウェブサイトに公開して話題になった「万引き犯」と特徴が似ているという。

台東区上野の眼鏡販売店は、ウェブサイト上に「商品を万引きした犯人」として画像を公開。店側は「来月までに返却か弁償しないと、画像のモザイクを外す」と警告していた。

店側の行った画像公開の是非について、社会学者の古市憲寿が2人の専門家に聞いた。

犯人が名誉棄損で店を訴えたら負ける

常磐大学元学長  諸澤英道さん

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負ける可能性が高いケースだと思います。訴えられて店側が勝つためには相当しっかりした弁護団をつくって、犯罪を防止するためには必要最低限やむを得ないんだと主張、裁判所に認めてもらわないといけない。しかし、それはなかなか難しいでしょう。過去の判例や適用例から見ると非常に難しい。

防犯カメラ映像を公開する問題点

これは2つの面から考えなければいけません。

1つは画像を勝手に映して公開することの問題。そもそも日本の法律は、肖像権とかプライバシーという観点で整備してないから、画像を写して発信するのは野放し状態になっています。そうやって公開された人が肖像権の侵害だと裁判を起こす可能性があります。

もう1つは、その画像になんらかのメッセージを付けて出す問題。日本では、万引きした犯人に対して「こいつは万引き犯だ」と例え真実を書いた場合でも、他人の名誉を傷つけたら名誉棄損になります。

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名誉棄損とはなにか

法律の条文によりますと「公然と事実を適示して人の名誉を傷つけた場合」に「真否を問わず」名誉棄損となります。ですから事実を示して名誉を傷つければ名誉棄損になります。例えば、万引き犯を万引き犯だと書いた場合、欧米の国々だと本当のことを書いた時は名誉棄損じゃないという法体系が多いんですが、日本の法律は、真実でも名誉棄損になる可能性がある。そこがちょっとややこしいんですね。

ただし、名誉棄損にならない例外があります条文には、「公共の利害に関することであり、かつ、その目的がもっぱら公益をはかるためであれば、示したことが真実であることの証明をすることによって名誉棄損にならない」と書かれています。さらに「犯罪は公共の利害に関すること」という但し書きのような文章が付け加えられています。したがって、『公共の利害に関する』犯罪なら公表しても名誉棄損にならないということになるんですが、これは警察やマスコミのような機関だけに当てはまるのであって、過去の適用例では店など一般人は当てはまりません。

店主の気持ちもすごい分かるし、ちょっと残念だったなとも思います。この人が犯人と決め付ける表現じゃなくて「この人に用があるので知っている人はご連絡ください」とか、万引きしたというのが伝わらないような言い方にしなければならない。たとえ店内の貼紙でも、犯罪と決めつける表現をしていたら、間違っていても本当に犯人だとしても名誉棄損になってしまうのが日本の法律の変なところなんです。

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メガネ店がやったことは原則として名誉棄損

青山学院大学法務研究科教授・弁護士  浜辺陽一郎さん

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原則として名誉棄損です。ただし3つの要件が全部そろったら正当な行いだと認められます。それは「公共性」があること、「真実性」があること、最後に「公益性」があること、この3つです。

「公共性」は、犯罪に関することは公共のものであるという条文があるので問題にならないですね。「真実性」についても、万引きをやったことが間違いのない真実であるのならば、これも問題ないですね。ところが「公益性」が満たされてるかについては、ちょっと議論が起きるだろうと思います。

マスコミが名誉棄損で負ける裁判は、ニュースを売るためや誰かを貶めるためなど「公益性」を欠いたかがよく問題になります。今回の場合は店舗ですから、お店だから営業目的だとか、万引き犯に対する復讐心だとか、そういう観点から「公益性」は疑問があるという事を言う人が出てくるでしょう。

数万件も見過ごされている万引きの実情

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万引きについては犯罪白書に統計が出ていて、認知件数はだいたい11万件から13万件ぐらい。そのうち、実際に検挙できたのは8万件なんですね。という事は、警察に届け出ても、数万件は検挙できない実態があるんですよね。さらに、これはあくまでもこれは警察など公の機関に届け出た件数なんです。認知されていない万引きもたくさんあるでしょうから、実際の被害はもっと大きいのでしょう。

万引きに悩む店はどうすればいいのか

問題なのは、お店はこうしたら大丈夫ですよっていうルールが確立していないんですね。一概にはなかなか言いにくいんですが、私の個人的な考え方としては、警察と相談したうえでプロセスを経るってことが必要になると思います。つまり警察に相談して、防犯ビデオに映った証拠を提出し、犯人の逮捕に結びつけば目的を達成。犯人を逮捕してくれないようなら、店先にお知らせを貼り出す。つまり、最初は名誉棄損にならないようなことから始めて、少しずつやり方を変えていくんです。

私は「公益性」の解釈を緩やかに考えていいんじゃないかと個人的に思ってるんですけど、ほかの法律家の先生の中には、なかなか同意してくれない人もいらっしゃいます。この辺は色々と議論していかないといけないだろうと思うんですが、なかなか簡単な問題ではないんですね。

古市憲寿のまとめ

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殺人などの重大事件に比べて、万引きは警察が全力で犯人逮捕に挑むというのはなかなか難しいと思うんですね。逆に検挙されても、「もう売っちゃいました」とか必ず犯人側が弁済できるとは限らない場合も多いのではないでしょうか。

今回の場合、事前に警察に相談すればよかったとか、ウェブサイトに万引き犯とは書かない方が良かったとか、色々な意見がありますが、それで万引き犯への警告になるんでしょうか。やっぱり、お店側の気持ちも分かりますよね。少額の商品を売っているお店だと、一回 万引きされただけで一日の利益が飛んじゃったり、万引きが原因でお店がつぶれることもありますからね。そういうことを考えると、もっといい仕組みがないのかなと思います。

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2月15日放送「あしたのコンパス」より
https://www.houdoukyoku.jp/archives/0004/chapters/27306

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