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外交特権を悪用して薬品運搬? 浮かぶ北朝鮮大使館の「裏の顔」
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外交特権を悪用して薬品運搬? 浮かぶ北朝鮮大使館の「裏の顔」

金正男氏殺害で北朝鮮大使館の2等書記官が関与の疑い。その意味と過去の手口を解説する。

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Feb 26, 2017 by Kamoshita Hiromi Reporter

3 Lines Summary

  • ・疑惑の2等書記官……外交特権を悪用か 
  • ・工作拠点としての大使館……工作員も駐在 
  • ・外交関係断絶も……北朝鮮の孤立強まる

金正男氏殺害事件でマレーシアの北朝鮮大使館に駐在する2等書記官の関与が疑われている。大使館には工作員らが派遣され、外交特権を隠れ蓑にさまざまな活動を展開している。知られざる北朝鮮大使館の役割とは?

疑惑の2等書記官……外交特権を悪用か

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ヒョン・グァンソン2等書記官。事件で急浮上した北朝鮮大使館員の名前です。

大使館員、すなわち外交官の関与が意味するもの、それが「大使館ぐるみ」「北朝鮮指導部の指示」という図式です。

事件の動機を解明するための大きな手掛かりを得たと言えるでしょう。

一般に大使館や外交官には「外交特権」が認められています。

マレーシア当局は許可なく大使館に立ち入ることはできません。外交官も拘束されません。公邸・私邸・車・列車・専用機などもアンタッチャブルです。

特権の中でも、北朝鮮が重視するのが「信書の保護」。

外交関係の書類・物資は「外交行嚢(こうのう)」という封袋に入れ、受け渡しします。この外交行嚢もアンタッチャブル。空港の保安検査などで開く必要はありません。

過去、この特権が悪用された例が何度も発覚しています。

▽スイス駐在外交官が、金正恩氏の祖父、金日成主席のためにペースメーカーを外交行嚢で送った

▽南アフリカ駐在外交官が、密輸などで得たサイの角を外交行嚢を通じて北京の北朝鮮大使館に送り、中国の闇市場で売りさばいた

▽海外労働者が得た外貨収益が、外交行嚢を使って北朝鮮に届けられた

外交特権が工作活動の隠れ蓑になり、この懸念は繰り返し指摘されてきました。

今回も殺害に使われた猛毒の神経剤VXに関連した薬品運搬に、この外交行嚢が使われた、という説が持ち上がっています。

工作拠点としての大使館……工作員も駐在

実際に、北朝鮮大使館とはどういう組織なのでしょうか。

在外公館で最大規模である北京の大使館を例に取ってみましょう。

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名簿には、次の肩書の外交官が固有名詞とともに記されています。

特命全権大使1人/公使3人/参事官13人/1等書記官19人/2等書記官17人/3等書記官23人……。

ただ、名簿の名前と、内部で使用される名前が一致しない例もあります。肩書きと実際の力関係もはっきりしません。職位は2等、3等であっても、公使や参事官より実権を握っている場合もあります。

大使館の敷地には館員やその家族ら100人のほか、党機関紙の関係者らも事務所・住居を構えています。総数はざっと150~160人とみられます。敷地内には売店や食堂、診察室もあり、生活に不自由はありません。
 
この中に工作活動を担当する朝鮮人民軍偵察総局の要員がいます。

もちろん本来の任務は明かさず、外交特権に守られるため「2等書記官」「3等書記官」などの肩書で働いています。

一般の大使館員は通常、単独行動は認められていません。外出の際、複数で行動し、相互に監視し合っています。しかし、偵察総局の要員は特別に単独行動が許され、資金も豊富なようです。

外交関係断絶も……北朝鮮の孤立強まる

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北朝鮮は事件発生直後からマレーシア警察の捜査にクレームをつけてきました。これに対し、マレーシアでは北朝鮮に対する非難の声が高まる一方です。

「うそや非難をぶちまけ続けている」(アニファ外相)
「ならず者国家だ。行かないように」(ナスリ観光文化相)

既に北朝鮮駐在のマレーシア大使を召還しました。次は「断交すべきだ」の論調が強まっています。

かつて北朝鮮が関与した事件でも国交断絶に至った例があります。1983年、ビルマ(現ミャンマー)で韓国大統領の爆殺を狙ったラングーン事件が発生しました。大統領は被害を免れたものの、閣僚ら7人が死亡しました。

ビルマ政府は北朝鮮工作員の犯行と断定し、国交を断絶しました。断交状態は2007年まで続きました。

ラングーン事件の例をみれば、二つは断交してもおかしくありません。

マレーシアは、北朝鮮にとっては数少ない友好国の一つ。北朝鮮住民としてはビザなしで入国できるマレーシアの存在は貴重でした。各国との外交交渉、水面下接触も、頻繁にこの国で進められた経緯もあります。

事件に関与した女2人の出身地、インドネシアやべトナムとの関係も悪化は必至です。国際的孤立が一層深まる中で、北朝鮮のさらなる暴走が懸念されます。

金正男氏、殺害
vol.7

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