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「JASRAC VS 音楽教室」 裁判で有利なのはどっち?

議論を呼ぶ「JASRAC VS 音楽教室」を弁護士が徹底解説。

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Mar 15, 2017 by gogo Reporter

3 Lines Summary

  • ・学校教育はなぜか著作権使用料の例外
  • ・争点は「演奏権の侵害」の有無
  • ・裁判になるとJASRACが有利

JASRAC(日本音楽著作権協会)が音楽教室での演奏から著作権使用料を徴収する方針を示したことが議論を呼んでいます。

「著作権とは」という基本をおさえたうえで、議論を呼んでいるポイントを「サン綜合法律事務所」の中村信雄弁護士に解説していただきました。

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著作権とは?

「人の思想とか感情を創作的に表現したもの」に対して、それを独占的に使用して、あるいはそれを使用させて対価を得るというのが著作権のメインの中身になります。

これがどうして認められるかというと、小説や映画など著作物を作るには非常に労力が必要になるんだけれども、せっかく作ったものが勝手に自由にみんなに使われてしまって、自分の利益にならないのでは創作意欲も湧かないということになるので、やはり権利者の保護。

一生懸命作った人に対して、創作した物から得られる経済的利得に関しては、基本的には創作者に独占させましょうと。そうじゃないと文化は発展しませんよねと。
そういうところから認められている権利なんですね。

著作権の期限は?

著作権には期限が一応ありまして、著作権の財産権に関しましては生存している間は保護され、亡くなった後50年という期限が設けられています。

著作権を侵害したら?

著作権というのは勝手に侵害すると、差し止めの裁判によって差し止められたり、あるいは損害賠償請求ということで、本来の使用料相当額を損害賠償として賠償しないといけないんです。

JASRACもこの問題で指摘していますけれど、無料で2年間ぐらい、JASRACが管理している著作権を勝手に使ってカラオケ教室をやっていたというところについては、実際に懲役2年、執行猶予4年というような刑事事件になっていることもあります。

個人が著作権を管理するのは大変なため、JASRACが代わりに管理

「著作権は一体誰が持つんですか?」という疑問があるかと思うんですけど、本来は著作物を作った人です。

小説であれば小説を書いた人、映画のシナリオであれば映画のシナリオを書いた人、音楽であれば作曲した人、歌詞をつけた人であれば歌詞を書いた人、基本的にはこういう人たちが権利を持つんですけれども、なかなか著作権を管理するのは大変なんですよね。

音楽に関しては今回問題になっているJASRACが、基本的には管理するような仕組みが作られていて、著作権者とそれを管理する人が大きく分かれているというのが現状です。

著作権をJASRACが管理する仕組み

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「作詞家・作曲家」の方がいて、この人たちが著作権を持っているんですね。ところがこの人たちは自分で著作権を管理しきれないわけですよ。たとえば、地方のカラオケ教室で自分の曲が使われているなんていうのは知りようもない。

そこで、著作権を管理してもらおうということで信託契約、一旦、著作権を「JASRAC」に預けるようなかたちにして管理してもらうと。

「音楽出版社」が著作権を持つような場合は、「作詞家・作曲家」から権利を譲り受けるわけですね。譲り受けた「音楽出版社」が著作権を持つような場合もあるんですけれど、その場合は「音楽出版社」が「JASRAC」に著作権を預ける。いずれにしろ、「JASRAC」はほとんどの曲を預かって管理している状況になっています。

これを今度は「音楽を使う人」は、いちいち「音楽出版社」とか「作詞家・作曲家」の許諾を得なくても、「JASRAC」の許諾を得て「JASRAC」にお金を払えば、音楽は自由に使えるんです。「音楽を使う人」から「JASRAC」にお金が支払われるので、お金が「JASRAC」にプールされるわけですけれど、このお金を著作権を持っている人に分配していくわけですね。

著作権の侵害にあたるケース

著作権法22条という規定がありまして、著作者は著作物を公衆に直接見せたり、あるいは聞かせることを目的として上演したり演奏できる、それを占有する権利を持っているということなんですね。

それが著作権の中身になっているので、本来、人が著作権を持つ曲を勝手に営利目的で演奏したら、著作権の侵害になります。それ(営利目的で演奏)をやるためには、JASRACが管理しているならJASRACに使用料を払わないとそれ(営利目的で演奏)ができないということなんですね。

著作権侵害の例外要件

ただ、著作権侵害には例外要件がありまして、それが著作権法の38条に規定されています。「営利を目的としない」「聴衆・観衆からお金を貰わない」「演奏している人に対価が支払われていない」という3つの条件がクリアーされる場合、基本的には著作権の侵害にはならないということになっています。

大山解説委員の疑問

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大山泰解説委員:たとえば、スポーツクラブでインストラクターさんが自分の好きな曲でエアロビとかをやるときに、自分でCDを持ってきて曲を流して教室をやったりするじゃないですか。あれもグレーですよね?

中村弁護士:そうですね。

JASRACによる管理の歴史

JASRACはこれまでいろんなものを管理してきた歴史というものがありまして、フィットネスクラブに関しては2011年4月から、カルチャーセンターに関しては2012年4月から管理を開始、2015年4月からはダンス、2016年4月からはカラオケ教室の管理を開始しているわけです。

いろんなところに管理を広げていく中で、来年1月からは楽器メーカーがやっている音楽教室にも管理を広げますよという宣言をしたんですね。JASRACの宣言に対して、楽器メーカーの大手7社は「音楽教育を守る会」というものを作って争いを始めたということなんですね。

「JASRAC VS 音楽教室」争点は?

争いの本質は何かと言いますと、たとえば、音楽教室で講師の先生が生徒数人の前で演奏していることが「聴衆の前で演奏している」と言えるのでしょうかと、あるいは、講師の演奏を聞いているのはあくまでも勉強のために聞いているのであって、鑑賞してそれに対する対価を払っているわけではないですよね。こういった行為に関して、JASRACが言うような演奏権の侵害みたいなものが生じているのだろうか、というのが争点になるわけです。

JASRAC側の主張

JASRAC側の主張、1つは、楽器メーカーがやっている音楽教室は楽器を売るためのビジネスモデルでしょうと。音楽教室をやることによって楽器を売るという目的があるでしょうというところを1つ大きな柱にしているわけですよね。

もう1つは、受講生の方が何人もいるわけですから、ただ恋人に見せているわけじゃなくて、不特定多数の人の前で演奏しているでしょうと。それが営利目的である以上は使用権が発生しますよというのがJASRACの考えなんですね。

音楽教室側の反論

音楽教室側は、学校教育では例外的にJASRACも使用料をとらない、管理はしないと言っているんですね。それは教育目的ということと、基本は非営利であってということなんです。

ただ、よくよく考えてみると、たとえば私立大学で考えると、私立大学だって授業料を貰って、ある意味で営利活動をしているわけですよね。それと同時に、講師に対してもお金を払っているし、聞かせている相手も不特定多数と言えば不特定多数だし。

「学校と音楽教室は一体どこが違うの?」ということを音楽教室側は主張していて、そもそもこれは著作権侵害にあたらないでしょうと。だからJASRACが使用料を請求してくれば裁判も辞さないよと対立しているという状況なんですね。

裁判になるとJASRACが有利

カラオケ教室は使用料を払うのが現状で、カラオケ教室が著作権侵害と言われている状況。カルチャーセンターなんかでも使用料を払っているんですね。今の裁判の流れからすると、JASRACは若干優勢なのかなぁという感じはします。

ただ、私も音楽が好きでギターを習っていることもあって、ひいきもあるかもしれませんけど、やっぱり「学校とどこが違うの?」というところもあります。今、音楽教室側は、必ずしも音楽教室というのが楽器を売るためのビジネスモデルではなくて、楽器メーカーの責任として自分たちが販売した楽器の使い方を教えてあげて、音楽の文化を広げていくという目的でやっているんであって、別に楽器を売りたいからやっているわけじゃないんですよ、とも言っているんです。

私も別に、音楽教室に行っているから楽器を買う、というわけでもないので。音楽が好きだから上達したくて行っているわけですから。そういう意味では音楽教室側の主張も分からないではないというか、音楽教室側に勝ってほしいなぁという気持ちも若干あるんですけど、裁判になるとJASRACの方が有利かもしれないですね。

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