受動喫煙が死因の事例は年間1万5000件。「受動喫煙防止対策」に迫る
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受動喫煙が死因の事例は年間1万5000件。「受動喫煙防止対策」に迫る

厚生労働省の担当者が「受動喫煙防止対策」の取り組みを解説。

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Mar 21, 2017 by gogo Reporter

3 Lines Summary

  • ・非喫煙者が、受動喫煙によって肺がんなどを疾患、死因となった事例が年間1万5000件ある
  • ・飲食店において、全面禁煙は売上に影響しない
  • ・受動喫煙対策はオリンピック開催に関係なく、推し進めるべき

受動喫煙防止対策をどのように進めるのか?

原則、飲食店も全面禁煙とする法案を厚労省は今国会にも提出すべく準備中ではあるが、与党内からも反発の声が上がっているのが実情だ。なぜ、いま厚労省は「受動喫煙防止対策」を強化、推し進めようとしているのか?

厚生労働省の社会保障担当参事官室企画官、野崎伸一さんが解説する。

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8割以上が「非喫煙者」

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まず過去50年で喫煙者の割合が20%以下まで減ってきている。その状況下で、喫煙による肺がんのリスクは当然あるが、非喫煙者でも受動喫煙による肺がんのリスクがあるということ。

具体的には、非喫煙者が受動喫煙を繰り返すことで、疾患リスクが通常の1.3倍になる。また少なくとも年間1万5000人が、受動喫煙を理由に肺がんなどの疾患で死亡しているというデータもある。

つまり、受動喫煙も健康上のリスクが非常に高いということが言える。

平成15年に健康増進法で「受動喫煙防止対策」を法例化

厚労省も「健康増進法」の中で、受動喫煙防止対策をすすめてきた。しかし、喫煙者は減っているにも関わらず、飲食店を筆頭に、非喫煙者はいまなお受動喫煙のリスクにさらされているのが実情。

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受動喫煙に遭遇する場所や割合の調査結果を見ると、現行の受動喫煙防止対策が不十分であることが明確と言わざるを得ない。「努力義務」や「自主的取り組み」を促す対策では足りないと問題意識が、法律的な規制強化を進めようとしている背景にあるのだ。

それでも、日本の取り組みは世界最低ランク

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WHO(世界保健機関)が、公共の場所を病院、学校、飲食店など8種類に分類し、世界各国の公共スペースにおける禁煙規制の取り組みを調査、発表している。これによれば、日本は8種類の公共の場所のうち0~2種の場所でしか禁煙規制をしていない。つまり世界最低ランクに位置付けられている。

過去のオリンピック開催国が、禁煙規制を強化した理由

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2010年、WHO(世界保健機関)とIOC(国際オリンピック委員会)が「たばこのないオリンピックを目指す」ことで合意。これ以降、五輪開催国では喫煙ルールに罰則を伴う法規制を実施している。当然、日本もこれに沿って、喫煙規制を強化、受動喫煙の防止対策の強化をすすめ、いまの最低ランクからは上がる必要があると考えている。

分煙では解決にならない理由

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飲食店などで多くみられる分煙の仕組みは、仕切りのない空間で、喫煙席と禁煙席と席を分けているもの。私も分煙されている喫茶店に行くことはあるが、禁煙席に座っていても、喫煙席からの煙が流れてくることがある。煙は空気に混じると目には見えないこともあるのだが、そこには有害物質が飛んでいる。つまり、非喫煙者の方は、禁煙席にいても受動喫煙のリスクから完全に保護されていない。

また、飲食店の従業員の中には、未成年者もいる、妊娠中の従業員もいるかもしれない。分煙されていても、従業員は喫煙席も業務上入らなくてはならない。そう考えると従業員の保護がまったくできていない。今のような単に席を分けるだけでの分煙では、まったく不十分だ。

喫煙席ではなく「喫煙専用室」

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厚生労働省での提案では、「飲食店は原則禁煙。屋内に『喫煙専用室』の設置を可能」にしている。「喫煙専用室」とは、間仕切りがあり、喫煙室内の煙が外に出ないようにするのが、基本的な考え方。

すでに、一部の飲食店で見かけることもあるが、飲食スペース外に喫煙専用ブースを設置し、タバコだけを吸い、吸い終わったら席に戻るというもの。喫煙者の方には面倒をかけるかもしれないが、喫煙によって他の人の健康を害しているという意識に立てば、この程度の不便さは我慢していただくべきと考えている。

70%の人が飲食店の全面禁煙を望んでいる

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最近の世論調査では、およそ7割が飲食店などの喫煙の全面禁止に賛成しているという結果が出ている。これは、屋内に喫煙室の設置も不可とする全面禁煙に賛成しているという意見。

(先述の厚生労働省が提案する)「喫煙専用室」を設置を認める屋内禁煙案の賛否についても、約6割の賛成を頂いている。非喫煙者の割合が8割に上っているなか、非喫煙者は当然、煙を吸いたいとは思わないので、厚労省案にもきちんと支持していただけていると思う。

店内禁煙化でも飲食店の売上が落ちるとは限らない

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飲食店では全面禁止化によって、売上に影響が出ると不安視する声がある。

そこで、全面禁煙化が売上にどのような影響を及ぼすのか調査を実施。愛知県で自主的に全面禁煙にした店舗1163店舗を対象に、全面禁煙化の前後の売り上げを比較すると、95%の店舗で変わらなかったという結果が。売上減となった店舗はわずか4%だった。

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さらに、あるチェーンレストランで全面禁煙化したところ、売上が4%増加したという結果もある

小規模な飲食店の場合だと、全面禁煙化で経営悪化を懸念する声があるが、こうしたデータから見ると、(店舗の規模に関わらず)全面禁煙導入の前後での売上の影響は大きくないと考えている。

屋外喫煙規制は自治体ごとにバラつきがある

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海外では屋内喫煙に厳しく規制を設けていても、屋外喫煙には厳しく規制しない国もある。

ところが日本では、屋外での喫煙を制限、違反者に罰則を設けている自治体も存在する。

・歩きたばこの禁止
・携帯灰皿があれば喫煙可能
・灰皿がある場所または私有地内での喫煙可能

など、自治体ごとに規制がまちまちだ。

今回法案が成立すれば、厚生労働省としては、各市区町村・自治体ごとに法例の主旨を丁寧に説明し、屋外での喫煙規制を厳しく敷いている自治体には、国で設けた規制と調和を取っていただくよう、各自治体にお願いをしていきたい。

受動喫煙対策はオリンピック開催に関係なく、推し進めるべき

喫煙は個人の自由、個人の楽しみではないか?という声もある。しかし、個人の自由・楽しみのために、非喫煙者の健康が害されることが、後回しにされているのが現状。

本来は、受動喫煙対策はオリンピック開催に関係なく、推し進めるべき。また、日本も他の先進国並みに、非喫煙者の健康にも配慮できる先進国にしていきたいと考えている。

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