「何でもあるようで何もない」閉店相次ぐ百貨店が抱えるジレンマ
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「何でもあるようで何もない」閉店相次ぐ百貨店が抱えるジレンマ

地方・郊外で相次ぐ百貨店の閉店。その背景と打開策は?

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Mar 26, 2017 by compass Reporter

3 Lines Summary

  • ・「何でもあるようで何にもない」
  • ・現状を打開するためには何らかの営業努力が必要
  • ・重要なのは地方にお金を留めること

「三越伊勢丹ホールディングス」は3月20日、千葉県・千葉市の三越千葉店と東京・多摩市の三越多摩センター店を閉店。
宮城県・仙台市の「さくらの百貨店仙台店」の運営会社は、今年に入って自己破産を申請して営業を停止。
「そごう・西武」が運営する茨城県・つくば市の西武筑波店と大阪府・八尾市の西武八尾店は3月28日に閉店となるなど、地方や郊外の百貨店が次々と閉店に追い込まれている。

地方や郊外の百貨店の相次ぐ閉店の背景には何があるのか?
そうした状況下で地方経済を活性化させるためにはどんな方策が考えられるのか?
速水健朗が専門家2人に聞いた。

百貨店にはわざわざ行くほどの魅力がない

経済ジャーナリスト 片山修さん

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百貨店って衣料品が収益の最大の分野なんですよ。
ところが今、若い女性は衣料品をネットで買うし、H&M 、Forever21、ZARA、ユニクロなどといったファストファッションがすごいでしょ。百貨店の婦人服は、今の若い人のライフスタイルに合っていないよう気がするんですよ。

確かに売り場はきらびやかで豪華になりましたよ。しかし今の若い人って、いかに安く手ごろで、しかもわざわざ百貨店に買い行かないで買えるっていうのはものすごく魅力だし、さらに行動パターンが違うでしょ。みなさん働いていらっしゃるから。

だから、わざわざ日曜日に百貨店買いに行くかっていうことですよ。そこ(わざわざ行くほど)の魅力がないんですよ。

「何でもあるようで何もない」というジレンマ

百貨店っていうのは今さら言うまでもないんですが百貨じゃなくて、電化製品だったらヤマダ電機に行くし、家具ならニトリとかに行くじゃないですか。そういう専門店化してて、そちらに行った方がより自分の好みにあったものがあるというか、魅力がありますよね、何かをピンポイントで買いに行く場合は。
百貨店は「何でもあるようで実は何にもない」というそんなジレンマに陥っているのではないでしょうか。

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地方活性化には新たなビジネスモデルが必要

消費ということで言うと、都会の人、あるいは地方でも若い人はネットでモノを買うことができるんですよね。

ところがシニアはなかなかネットでモノを買えないじゃないですか。買い物すら億劫だとか、あるいは過疎とか、買い物難民とか言われていますよね。
そういうなかで、移動スーパーと言って、軽四(軽自動車)で後ろに500種類ぐらいの日用品を積んで500店ぐらいを1日回って商品を納めてもらってやっている人もいるんですよ。

それを「とくし丸」という全国展開している会社がプロデュースしていて、地元のスーパーと軽四を持っている人が契約してモノを売って歩くんです。(地方活性化のためには)こういう風に、都会でもネットでもない新しいビジネスモデルを作る必要があると思いますよ。

百貨店は時代遅れ

政策研究大学院大学名誉教授 松谷明彦さん

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これは地方に限らず都会でも同じなんでしょうけど、百貨店という形態、あるいは今の百貨店のビジネスモデル、販売方式、品揃え含め、そういうものが今の消費者のニーズに合わなくなってきている。ちょっと言葉は悪いんですが、時代遅れな流通経済になっているところではないでしょうかね。

重要なのはお金を地方に留めること

日本では経済のうち消費が6割ぐらいを占めていて、消費が経済活動の根源ですよね。ですから地方にとって大事なのは、消費っていうものをどう地域に生かしていくか。消費行動を通じて落とされたお金をいかに地方に留めるかということが非常に重要なわけですね。

そうすると、百貨店がいなくなっても地方にとっては何の痛手にもならないわけでして、地元資本の流通システムがそれにとって代わればいいわけですよね。東京の大手資本に負けないような地元資本のショッピングモールでも構わないし、デパート的なものでも構わない。そういうものを地元資本で起こすということですよね。

高知のスーパーは地方活性化の成功例

高知県の高知駅の駅前、駅からちょっと離れたところですけど、ここは結構うまくいってますよね。駅からちょっと近いところに大きなイオンがあって、その真ん前に「サンシャイン」という地元資本のスーパーマーケットがあるんですよ。ここがすごい繁盛してるんです。

大手資本であれば食材は全国から集めますよね。ところがサンシャインは地元の高知県産の海産物・農作物しか扱わない。高知県民にとっては安心というのがあるんでしょうね。サンシャインはひじょうにうまくいっている例で、全体で見るとうまくいっている例というのは少ないんですけどね。

アイディアだけでなかなか大資本に勝てないところがあるとすれば、それは自治体が公正な競争を阻害しない範囲で地元をバックアップして、何とか地元の業者を育てて消費者のお金をなるべく地元に残すという努力をする必要があると思うんですね。

速水健朗のまとめ

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営業努力しろってのが片山さん、松谷さんの共通意見で、ネット使えない人に向かって届けに行けばいいじゃんっていうのが一つ、「とくし丸」という例を教えていただきました。

もう一つ、これは松谷さんの話ですけど、地元のいわゆるルーツ資本みたいなものの中で新しい小売業態、直販に近いかたちが売りになるんじゃないのっていう話をしていたり。

ただ、どっちもひじょうに少数の例で大きい流れを食い止めるものではないと思うんですよ。そこが前提だと思うんですが、何かしらの営業努力が必要なのではないでしょうか。

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3月22日放送「あしたのコンパス」より
番組アーカイブ https://www.houdoukyoku.jp/archives/0004/chapters/27746

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